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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科45巻4号

1991年04月発行

原著

腎細胞癌の動注併用一時的阻血療法

著者: 村橋勲1 細谷吉克1 迎圭一郎1 神部清彦1 前田節夫1 本田幹彦1 高崎悦司1

所属機関: 1獨協医科大学泌尿器科学教室

ページ範囲:P.333 - P.338

文献概要

 腎細胞癌50例に56回,腎動脈の血流を一時的に24ないし72時間遮断する阻血療法を施行した.50例中31例は阻血療法後腎摘除術を施行した.50例中19例の阻血療法のみの症例のうち病期4Bの症例は14例あり,そのうち3例が阻血療法のみで2年11ヵ月,4年7ヵ月,6年4ヵ月生存した(平均55.3ヵ月).他の11例の平均生存期間は5.2ヵ月であった.14例全体の生存期間は16ヵ月であった.病期4Bについて報告されている結果では平均生存期間は5ヵ月から12ヵ月という報告である.阻血療法にて末梢血のリンパ球が阻血療法後1ないし7日目の間に一時的に減少した.これは阻血療法にて腫瘍内にリンパ球が集合するためと推察された.腎摘した一部の例では腎細胞癌の組織中のリンパ球およびそのサブセットの検索も施行した.そして阻血療法にて腫瘍内に集合して来るリンパ球は,特定のリンパ球ではなく全部のリンパ球が集合しているのが観察された.これらの結果は阻血療法にT細胞が関与しているためと推察される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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