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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科45巻5号

1991年05月発行

講座 泌尿器手術に必要な局所解剖・24

副腎(2)

著者: 佐藤達夫1

所属機関: 1東京医科歯科大学解剖学第2講座

ページ範囲:P.388 - P.394

文献概要

動脈
 副腎の血流は,隣接する腎の血管から大きな影響を受けているので,腎の血管の項1)で簡単に触れておいた.しかし副腎の血管,とりわけ動脈は多彩である.ここでは重複を厭わずに基本設計と変異の幅について考えていくことにしたい.
 内分泌器官にはおしなべて血管が豊富に分布している.分泌されたホルモンを受け入れ全身の血流にのせるために,毛細血管や洞様血管の分布がことさら密であり,器官に出入りする血管の発達もよい.とりわけ甲状腺と副腎は,臓器の大きさにくらべて血管が豊富である.しかし2つの臓器をくらべると,副腎では動脈と静脈の出入様式に特色がみられる.ふつう実質臓器では,肺門とか肝門あるいは腎門と呼ばれる血管神経の通過門を備えていて,出入部を限定しているものである.副腎にも門らしいものがないわけではないが,ここを通るのは太い静脈と随伴する申し分け程度の細い動脈にすぎない.動脈の大半は表面に網状に広がり被膜下動脈叢をつくり,いたるところで実質の内部に進入して皮質と髄質を貫き,髄質の中心を走る中心静脈に注ぐのである(図1)2).表面の動脈網と中心静脈は実質をはさんで向かい合った形をとっており,その意味では,肝動脈と肝静脈の関係と似ている.しかし副腎では動脈の進入門が絞られていないことが異なるのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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