文献詳細
増刊号特集 泌尿器科医のための臨床超音波マニュアル
6 上皮小体 診断の基本と鑑別のための読影のポイント
著者: 植野映1 角田博子2 森島勇3 田中秀行1 東野英利子2 川上康1
所属機関: 1筑波大学臨床医学系 2筑波大学医学研究科 3筑波大学附属病院
ページ範囲:P.105 - P.113
文献概要
a.上下の逆転
上皮小体は5対の鰓嚢の第3および第4鰓嚢から発生する。第4鰓嚢から発生する上皮小体は甲状腺傍濾胞細胞の原基となる鰓嚢腺に接するので甲状腺の上中部背側にとどまり上上皮小体となる。第3鰓嚢は胸腺とともに前方で折り返るようにして尾側へと下降し,下上皮小体となる。上上皮小体は下上皮小体より尾側に存在していた鰓嚢より発生していることになる(図1)。発生時の上上皮小体の移動は少ないが下上皮小体の移動範囲は広いので下上皮小体の方が異所性に発生する頻度は高くなる。成人では上上皮小体は下甲状腺動脈と反回神経との交点より頭側1cmの点を中心に半径1cmの範囲内にある。下上皮小体の95%は甲状腺下極を中心に2cmの範囲内にあり,2%のみが縦隔内にある(図2)。ゆえに大部分の症例では上皮小体は頸部内に存在するので上皮小体機能亢進症の術前の局在化には超音波検査が最適な手段となっている。
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