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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科46巻13号

1992年12月発行

特集 前立腺癌の新しい治療法

男性ホルモン完全遮断療法の評価

著者: 秋元晋1 正井基之1 島崎淳1

所属機関: 1千葉大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.1009 - P.1014

文献概要

 ヒトにおける男性ホルモンの分泌は95%が精巣よりのテストステロンであるが,副腎皮質においてもステロイド生合成の産物としてアンドロステンジオン,デヒドロエピアンドロステロン(DHEA),デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩(DHEA-S)があり,これが男性ホルモンの標的臓器においてテストステロンに変換される(図1).抗アンドロゲン剤のあるものは,副腎皮質の17-20デスモラーゼを阻害することによりDHEAやDHEA-Sを半減させる1)とされ,男性ホルモン作用完全遮断療法の有用性の1つの理由と考えられている.前立腺における生理的に活性な男性ホルモンは,ジヒドロテストステロン(DHT)であるが,前立腺内のDHT量の15〜20%は副腎由来とする報告もあり,Gellerによると,両側精巣摘除を行ったものの大半が1ng/ml DHT/g tissue以上のDHTを含むという2)
 前立腺癌における男性ホルモン作用完全遮断療法は,1945年にHugginsとScottによる両側副腎摘除に始まるが,これらはすべて短期間に副腎不全にて死亡した.コルチゾールの補充を行っての副腎摘除の成績は,自覚症状の改善は60%に認めるものの,他覚所見の改善は稀であり短期間であるとされた.このため副腎由来の男性ホルモンは,前立腺癌の内分泌療法として考慮されなくなった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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