文献詳細
手術手技 腹腔鏡手術・3
文献概要
われわれは新しい手術用内視鏡の一法として,Bueβら1)の開発した直腸用内視鏡を用いた泌尿器科領域内視鏡手術について検討してきた.当術式は以下に述べるいくつかの特徴を有している.すなわち,1)腹腔鏡と比べて大口径の操作孔を作成する,2)単一の操作孔で手術を行う,3)気体の注入などのいわゆる気腹操作は不要である,4)術者は一人でも手術を遂行できる,5)経腹腔的到達ではなく後腹膜域内に限局しての手術が可能,などの点が腹腔鏡による内視鏡手術法と異なっている.したがって,このような内視鏡,そしてこれを用いた内視鏡手術は腹腔鏡手術とは異なり,後腹膜鏡手術という新しいカテゴリーに分類すべきものと考えている.当教室では現在までに5症例という浅い経験であるが,この術式による副腎摘除術は合併症も認めず良好な結果を得ている.Cushing症候群1例と原発性アルドステロン症2例,内分泌非活性腫瘍の2例の計5例に施行し,内4例は内視鏡的に手術を完遂できた.今回,経験した手術より修得し得た知見を中心に,以下,右側の内視鏡的副腎摘除術の実際について紹介する.
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