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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科46巻4号

1992年04月発行

特集 前立腺肥大症の薬物療法

Ⅰ.ホルモン系薬物

A.その効果を中心に

著者: 山中英寿1 今井強一1 林雅道1

所属機関: 1群馬大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.277 - P.280

文献概要

1.ホルモン系薬物の開発経緯
 前立腺肥大症に対して有効なホルモン系薬物の開発は,正常前立腺の生理,特にホルモン依存性についての研究,前立腺肥大症組織のホルモン代謝についての研究から得られた成果を基盤にしてなされてきた.ヒト前立腺肥大症の理想的な動物実験モデルはまだ作成されておらず,現在我々が臨床的に使用しているホルモン系薬物はすべて,ラット前立腺および犬自然発生および実験前立腺肥大症をスクリーニング手段として開発された薬物である.
 すなわち,正常前立腺はアンドロジェンの標的器官であり,その形態および機能を維持していくために,テストステロンの前立腺への取り込み,活性型テストステロンである5α-dihydrotestoste-roneへの変換,5α-dihydrotestosteroneのアンドロジェンレセプターとの結合という過程が必要不可欠であるということ,および,ヒト前立腺肥大症組織には5α-reductase,5α-dihydrotestos-terone,アンドロジェンレセプターが存在し,ヒト前立腺肥大症組織には,アンドロジェン依存性があることが想定されるという実験的事実から,血中テストステロンの低下,前立腺肥大症組織でのテストステロンの取り込み阻害,5α-reductase阻害,アンドロジェンレセプター阻害のいずれか,または幾つかを起こす薬物は,前立腺肥大症の治療薬剤となり得るだろうと思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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