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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科46巻5号

1992年05月発行

講座 泌尿器手術に必要な局所解剖・36

大動脈周囲リンパ節

著者: 佐藤達夫1

所属機関: 1東京医科歯科大学解剖学第2講座

ページ範囲:P.385 - P.391

文献概要

 腹部および骨盤内臓の癌の手術で根治性を高めようとすれば,大動脈周囲リンパ節(腰リンパ節)の郭清をせざるを得ない場合が少なくない.腹大動脈は,大きな枝を内臓に送るとともに,骨盤と下肢の主幹動脈に続いている.リンパ管は主として動脈に遡行するので,下半身のリンパ管系は結局,親動脈の腹大動脈に集まってくるからである.
 大動脈周囲リンパ節については,すでにこのシリーズの腎臓1)と睾丸2)でとりあげたところである.しかし,筆者は最近,胃癌における大動脈周囲リンパ節郭清を課題にした剖出所見のビデオを作る機会に恵まれた3).その際に剖出した1男性解剖体の所見のスライドを数枚供覧するのも意味のないこととは思われない.もちろん焦点を胃に置いたため,泌尿器外科とは直接の関連は薄いかもしれない.しかし胃や膵・胆道など上腹部消化器のリンパ管が大動脈に集まってくるのは腎茎の高さであり,これは腎にせよ睾丸にせよ,また骨盤内臓のリンパ管が集合してくる部位と一致しており,腎茎周辺の大動脈周囲は腹部と骨盤に共通して,リンパ管系の重要な局所だからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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