臨床泌尿器科46巻7号

1992年07月発行

症例

腎盂癌が合併した多房性腎嚢胞

著者： 平野章治¹ 川口正一¹ 美川郁夫¹ 北川清秀² 増田信二³

所属機関： ¹厚生連高岡病院泌尿器科 ²厚生連高岡病院放射線科 ³厚生連高岡病院病理科

ページ範囲：P.583 - P.585

　67歳，女性．主訴は左側腹部痛と肉眼的血尿であった．初診時の排泄性腎盂撮影で左無機能腎がみられ，超音波診断法では左腎に水腎症と下極の嚢胞性腫瘤がみられた．経皮的腎痩を造設し，その腎痩造影では嚢胞性腫瘤より離れた上部腎杯に不整な陰影欠損がみられた．尿細胞では悪性細胞が認められた．左腎尿管全摘除術を施行した．組織学的所見では腎盂移行上皮癌と多房性腎嚢胞が別個にみられ，後者には悪性変化は認められなかった．