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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科46巻7号

1992年07月発行

交見室

停留精巣に対する手術時期に関する一私見,他

著者: 谷風三郎1

所属機関: 1兵庫県立こども病院

ページ範囲:P.628 - P.630

文献概要

 停留精巣に対して何歳で手術をするかには種々異論のあるところである,しかし,私のまわりで質問してみるとほとんどの先生方は2〜3歳を目安としておられるようである.これは恐らくずっと以前に発表された停留精巣の組織学的検討ですでに2歳頃から変性がはじまるという論文が根拠となっていると考えられる.しかし,読者の先生方もご存じのように,最近では2歳で手術された症例でも精巣の発育は不良であることが多いという発表や,出生後早期から停留精巣では精細胞の分化の遅延が始まっているとの報告もあり,さらに手術年齢が低下してきていることと推察される.現に一昨年の米国小児科学会の小児泌尿器科のセクションで,停留精巣は1歳未満に手術をしようという公けの取り決めが小児泌尿器科医の間で行われていたことでも明らかである.
 ここで,1歳までに手術をすれば将来精子形成能が確保されるか否かという問題は別にして(これは20年以上先になれば答えが出ると思われる),現在までなぜ1歳未満に手術をしなかったかという疑問について考えてみた.まず,1歳までは自然に降下する可能性があると教えられてきた現実がある.しかし,われわれは毎年多数例の停留精巣の患者を診察,治療しているが,実際に1歳前から経過をみていた患者で1歳までに自然降下が生じた症例には遭遇したことがない.次におしめが創部の治癒を障害するという指摘がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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