文献詳細
文献概要
画像診断
骨盤内腫瘍を思わせた水尿管症
著者: 星野英章1 田中元章2 勝岡洋治2
所属機関: 1医療法人財団田無病院泌尿器科 2東海大学泌尿器科
ページ範囲:P.975 - P.977
文献購入ページに移動主訴 尿混濁。
既往歴 15歳時,他院にて両側停留精巣で精巣固定術を施行。
現病歴 疲労後に尿が褐色に濁ることがあり精査を希望し来院した。
検査所見 顕微鏡的血尿を認めた。精巣は形態に異常はないが,精子数300万/ml,運動率33%,奇形率10%と乏精子症であった。IVPで骨盤内に異常な石灰化があり,右腎が描出されず,超音波検査で骨盤腔に嚢胞性腫瘤を認めた。膀胱鏡では膀胱は右後方から圧排されており,右尿管口は欠如していた。
入院後所見 精査目的に入院となった。右精嚢造影を試みたが,精索は一塊に癒着しており精管は不明確であり断念した。手術は腹部正中切開で腹膜外に膀胱右後方より後腹膜腔の腫瘤に到達した。膀高付近で腫瘤の上縁と思われたが,管腔状の索状物が上方に続いており,尿管と判断した。上端には右腎の痕跡らしき組織が存在した。下方は先細りとなり,膀胱後方を精嚢を越え膀胱頸部付近まで到達しており,尿管異所開口と判断し,可能な限りを剥離のうえ,結紮切断した。開口部は膀胱頸部あるいは後部尿道と推定された。
掲載誌情報