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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科47巻13号

1993年12月発行

画像診断

水腎症に伴い自然に半回転した腎サンゴ状結石の1例

著者: 倉岡哲郎1 田口恵造1 細川尚三12 森義則1 生駒文彦1

所属機関: 1兵庫医科大学泌尿器科学教室 2大阪府立母子保健総合医療センター

ページ範囲:P.1052 - P.1054

文献概要

 患者 72歳,女性。
 初診 1987年8月17日
 主訴 無症候性肉眼的血尿。
 既往歴 65歳時,膀胱炎,膀胱瘤。
 家族歴 特記すべきことなし。
 現病歴 1986年9月,無症候性肉眼的血尿に気付いたが,消失したため放置していた。1987年7月,再び無症候性肉眼的血尿が出現し,近医にて左腎サンゴ状結石を指摘され,当科を紹介された。無症状のため経過観察していたが1990年7月のIVPにて,左腎の排泄遅延を認め入院となる。
 現症 異常所見なし。
 検査成績 異常所見なし。
 入院後経過 左腎盂尿管移行部狭窄を伴う左腎サンゴ状結石と診断し,外科的治療として,左腎盂切石術,左腎盂形成術を選択した。腎盂周囲は,炎症性に癒着が強度であり,腎盂はサンゴ状結石が回転しえるに十分なほど拡張していた。腎盂を縦切開しサンゴ状結石を観察すると,上腎杯への嵌頓部を軸に180。回転していた。サンゴ状結石を摘出後,切開を尿管走行に浴って進め腎盂尿管移行部を確認し,Anderson-Hynes法に準じて,腎盂形成術を施行した。結石の大きさは,最大径6.5cm,結石成分はリン酸カルシウム72%,塩基性炭酸マグネシウム17%,炭酸カルシウム11%であった。腎盂尿管移行部の病理組織像は,粘膜下と筋層に炎症細胞の浸潤を認め,毛細血管の増生をみる中等度の慢性腎盂腎炎を呈した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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