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雑誌目次

雑誌文献

臨床泌尿器科47巻4号

1993年03月発行

雑誌目次

増刊号特集 泌尿器科治療薬マニュアル—私の処方箋 巻頭言

薬剤情報の熟知と病態に応じた使用法の会得を求めて

著者: 秋元成太

ページ範囲:P.6 - P.8

 泌尿器科学の進歩,発展についてはあらためて述べるまでのことはあるまい。
 薬物療法もまた,急速な進歩と一面では複雑化の様相を呈している。
 このところ医療をとりまくきびしさも指摘されるところである。薬物と医療過誤との関連が深いのは別にしても,泌尿器科診療の場において,患者さんの病態に応じて,適切な薬物療法を行うことはかならずしも容易なことではない。

進歩と新しい展開

神経系薬剤の進歩

著者: 小川秋實 ,   三沢一道

ページ範囲:P.10 - P.13

 高齢患者の多い泌尿器科においては,排尿障害はもちろんのこと,脳血管性痴呆をはじめとする種々の精神障害を持つ場合が多く,向精神薬,自律神経薬の使用は日常診療において重要な位置をしめている。
 高齢化社会が進むなか,この分野の薬物療法は目覚ましく進歩しつつある。例えば下部尿路を支配する神経系統には,従来から言われているコリン作用系,アドレナリン作用系以外の神経経路の存在も示唆され,その経路に作用する薬剤が,排尿障害,尿失禁の治療に応用できないか注目されている現況である。

循環器用薬剤の応用

著者: 影山慎二 ,   河邉香月

ページ範囲:P.14 - P.16

 薬物による排尿への影響は,かなり頻繁にあり,特に循環系作用をもつ薬剤で多くみられる(表1)。これは膀胱や尿道が血管と類似した神経支配や平滑筋により構成されているからと考えられる。薬剤による影響が予期せず起きると排尿障害とされるが,あらかじめ予測して使用すれば,排尿に対する治療に役立つこととなる。ここでは循環器用薬の応用について論じることとする。

新しい制吐剤

著者: 町田豊平

ページ範囲:P.17 - P.20

5HT3受容体拮抗剤の現況
 最近,新しい強力な制吐剤として5—HT3受容体拮抗剤が登場し,抗癌剤投与時にみられる激しい悪心・嘔吐に対する治療薬として注目されている。シスプラチンを中心とした併用化学療法が日常的に施行される泌尿器科領域では,この新しい制吐剤はQ.0.Lの面からも欠かせないものである。
 本稿では,新しい制吐剤5HT3受容体拮抗剤開発の背景にある,嘔吐・悪心の発現機序,とくに嘔吐に関与するドパミンD2受容体とセロトニン5—HT3受容体について述べ,その嘔吐発現への過程をまず解説する。
 また現在5—HT3受容体拮抗剤として本邦で使用され始めているグラニセトロンを中心にシスプラチンを含む抗癌剤で誘発される嘔吐に対する本剤の著明な有用性について説明する。

ホルモン療法の新しい展開

著者: 上田陽彦 ,   岩動孝一郎

ページ範囲:P.21 - P.23

 泌尿器科領域で,前立腺疾患,精巣疾患(不妊症あるいは精巣機能不全),副腎疾患,腎不全などにおいて,種々のホルモン療法を含む新たな治療法が開発されつつある。本稿では,前立腺癌,前立腺肥大症,不妊症,腎性貧血に対するホルモン療法に関する最近の知見を述べる。

繁用泌尿器科用薬の使い方

著者: 緒方二郎

ページ範囲:P.25 - P.29

 泌尿器科の患者は高齢者が多く,さまざまな合併症をもっている。したがって泌尿器科医も広範な薬剤を使わざるをえなくなる。この項では泌尿器科医にとって使用頻度は高いけれども,作用機序の知識についてはそれほど詳しくない利尿剤と止血剤の使い方に限って述べる。

人工腎臓/灌流液の進歩

著者: 大島直 ,   東間紘

ページ範囲:P.31 - P.36

人工腎臓の進歩
 1940年代に人工腎臓が臨床応用されてから約50年経過した今,透析療法は腎不全の治療になくてはならないものとなり,さらに発展して血液浄化法としてさまざまな治療法が考案されている。
 1991年の統計では透析患者は116,000人,透析施設は2,385施設にもおよび,人工腎臓の台数は約46,000台で前年に比べ112%の増加となっている。また腹膜透析を施行されている患者も5,400人に及んでいる1)

制癌剤

著者: 小川一誠

ページ範囲:P.37 - P.39

はじめに
 泌尿器科の領域に属する各々の腫瘍の化学療法に対する有効性は大きく異なっている。睾丸腫瘍は最も感受性が高く,一方腎癌は最も不応性の癌であり,膀胱癌は中等度の反応性そして前立腺癌は比較的抵抗性である。
 Cisplatin(CDDP)の導入以後,睾丸腫瘍は治癒可能となり,膀胱癌の成績も向上した。しかし他のふたつの癌への貢献はなかった。よって,より有効なCDDPのアナログ及び新規構造の化合物が研究されている。本稿では新抗癌剤の臨床研究の現況につき解説する。

抗菌剤

著者: 熊澤淨一

ページ範囲:P.40 - P.44

 抗菌剤の進歩により,いくつかの感染症は姿を消し,罹患してもそれほど慌てなくてよい感染症も認められる。
 泌尿器科領域でも尿路,性器感染症,術後感染症などに抗菌剤を巧みに使用すれば重篤化することなく治癒することは広く知られている。

X線造影剤,アイソトープの進歩

著者: 山崎悦夫 ,   梅原功 ,   鈴木宗治

ページ範囲:P.45 - P.48

 すでに発表されている低浸透圧造影剤(low os-molality contrast media)について述べ,新しく開発される造影剤の方向にふれる。アイソトープの進歩の分野は,腎移植後の諸問題の診断についてのべる。

麻酔薬の知識—up to date

著者: 小川龍

ページ範囲:P.49 - P.55

 麻酔は薬物を用いて達成するが,その過程では必ず技術を必要とする。本特集では,麻酔関係の薬剤の処方のみならず麻酔技術を加味して記述する。

漢方薬の適応

著者: 会田靖夫

ページ範囲:P.56 - P.58

漢方治療の現況
 医療用漢方エキス製剤は昭和51年に保険適用が認められ,以後製品が普及し始め,漢方専門医ばかりでなく一般医家の間でも各科領域にわたり広く使用されるようになってきた。その中で漢方薬だけで専門的かつ伝統的な治療を行っている医師は少数で,大多数は現代医学的な薬品(以下漢方薬に対して洋薬と呼ぶ)と併用したりあるいは患者の症状に合わせて使い分けたりしている。本来漢方治療は患者から得られる情報を「証」として整理し総合する。そしてこの「証」に基づいて使用すべき処方が決定される。この「証」は患者によってそれぞれ個人差があり,さらに病気の進行状態によって変化する。しかし現実には「証」に留意することなくあたかも洋薬の一部を選択するがごとくに風邪には漢方薬A,胃腸障害には漢方薬B,肝臓には漢方薬C,というように画一的に使用されている場合も少なくない。結果的に病気が治れば,その処方を選択する思考はどのような方法でも良いわけであるが無原則的な漢方薬の使用はその効果を十分発揮できない場合が懸念される。現代医学の教育を受けた医師にとって,まず西洋医学的な診察によって病名を決定する。そしてその診断名に対して使用できる漢方薬を処方群の中から選択するというアプローチのしかたが一般的である。そしてその選択の結果使用された漢方薬はよほど患者の病態とかけ離れていないかぎりある程度の効果をもたらすことが多い。

制癌剤の選択と投与法のポイント

著者: 小磯謙吉

ページ範囲:P.59 - P.63

はじめに
 抗癌剤の種類は現在まで数多く市場に出回っており,臨床的に用いることの出来るものは約70種類に及んでいる。このような抗癌剤は単剤または他の薬剤との併用(多剤併用療法)の形で用いられて,その成果は自他覚症状の改善のみならず延命成績の向上につながってきている。ある種の癌では治癒すら可能といった時代に入りつつある。
 一方,これら制癌剤をうける癌の種類は数多くあり,必ずしもすべての癌に対して制癌剤が有効であるとはいえない。

免疫抑制剤の新展開

著者: 真下節夫 ,   小柴健

ページ範囲:P.64 - P.68

はじめに
 移植された臓器の生着を左右する因子のひとつは組織適合性であり,他の大きな因子は免疫抑制剤であり,臓器移植の歴史は免疫抑制剤開発の歴史といっても過言ではない。
 Cortisoneに免疫抑制効果があることが1950年Germuthらにより最初に示されて以来,幾多の動物実験が繰返された。また1959年には,Schwartzらが動物実験で6—mercaptoprine(6MP)に免疫抑制作用があることを見出した。1961年にはElionらが6MPのimidazole誘導体であるAzathioprine(AZP)を合成した。1963年MurrayらによりAZPとPrednisone(Pred)を併用することにより,臨床的に充分な免疫抑制剤効果が期待出来ると報告されて以来,AZPとPredは免疫抑制剤の二本柱となった。しかし両剤共にその効果と副作用により移植患者にとっては"両刃の剣"となっていた。

抗ウイルス剤の現況

著者: 西條政幸 ,   藤田晃三

ページ範囲:P.70 - P.74

 近年,acyclovirをはじめとする抗ウイルス剤の発展はめざましい。しかし,今のところ抗ウイルス剤治療の対象はヘルペス群ウイルス,後天性免疫不全症候群,および,呼吸器感染症の一部である。なかでも,単純ヘルペスウイルス1型(Herpes simplex virus type 1, HSV−1),2型(Herpes simplex virus type 2, HSV−2),水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella-zoster virus,VZV),サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus,CMV)感染症が治療の対象である。本稿では抗ウイルス剤の特徴と使用法について解説する。

疾患別薬剤投与プロトコール 腫瘍

進行腎癌

著者: 里見佳昭

ページ範囲:P.77 - P.78

進行腎癌の薬物療法の現況
 腎癌は従来より有効な薬剤のない癌といわれており現在もなおその状況に近いが,interfer-on(IFN)の開発により,以前よりやや期待のもてる時代に入ったといえる。現在最も信頼できるIFNの有効率は17%程度であり,抗癌剤の平均は約10%,ホルモン剤(progesterone)は5%程度に留まっている。しかもその有効率の大部分はpartial responseで,completeresponseはわずか数%と悲観的状況にある。IFN-α+IFN-γの併用療法,インターロイキン-2(IL-2)療法,LAK療法(lymphokaineactivated killer cell)なども一時希望を持たれたが,IFN単独療法を凌駕する成績ではなく,特にLAK療法では治療によるblood brainbarrierの破壊のためか,脳転移の出現頻度が高くなっているといわれており,今後の発展は疑問である。
 抗癌剤は単独では5—FUおよびその誘導体以外は有効なものは少ないが,methotrexate(MTX),vinblastine(VBL)を中心として有効率20〜30%の多剤併用療法が報告されている。progesteronは副作用が少なく本邦では従来多く使用されていたが多数例の報告で有効率が低いことが判明し,使用されなくなりつつある。しかし時に有効な例もあり,第3,第4選択薬として使用するのもよい。

表在性膀胱癌

著者: 赤座英之

ページ範囲:P.79 - P.81

表在性膀胱癌の治療と現況
 膀胱移行上皮癌の約70%は,膀胱筋層にまでは浸潤を示さない表在性膀胱癌である。このタイプのものは,経尿道的腫瘍切除術(TUR-Bt)が治療の第一選択であり,予後も不良とは言えない.しかしながら,切除術後の膀胱腔内再発の頻度が高いこと,そして,再発のたびに,腫瘍の浸潤度または悪性度において進行する頻度が10%内外に認められることが,大きな問題とされている。
 そのために,従来,表在性膀胱癌に対する薬物療法は,主に,腫瘍切除後の再発予防にむけられてきた。また,腫瘍がTUR-Btでは除去できないほど多発していたり,上皮内癌(CIS)が随伴した場合には,薬剤による治療も試みられてきた。
 これらのほとんどは,薬剤を経尿道的に膀胱腔内に注入する膀胱内注入法である.
 本療法の特色としては,この多くが経験的に,それぞれの施設あるいは研究グループで行われており,確立した方法が存在しないことである。また,BCG膀胱内注入療法のように現時点では(少なくとも日本では),保険適用外の治療法も行われることがあり,その実施にあたっては注意を要する。

進行期膀胱癌

著者: 井川幹夫 ,   上田光孝

ページ範囲:P.82 - P.83

化学療法の現況
 進行期膀胱癌に対する化学療法は,シスプラチン(CDDP)を中心とする多剤併用療法が一般的となり,なかでも1985年にStern-bergらが報告したメソトレキセート(MTX),ビンブラスチン(VLB),アドリアマイシン(ADM)およびCDDPの併用療法(M-VAC)は本邦においても優れた治療成績が得られている。化学療法剤の全身投与は,従来では遠隔臓器転移巣を対象としていたが,M-VAC療法は遠隔臓器転移巣に加えて,局所浸潤膀胱癌を対象に手術を前提としたネオアジュバント化学療法として,膀胱の温存あるいはその存在が推測される微小転移に対する効果を期待して行われる場合もある。

進行期膀胱癌

著者: 鳶巣賢一

ページ範囲:P.84 - P.85

進行膀胱癌の定義について
 膀胱癌症例において,薬物療法が必須と考えられるのは,診断時に隣接臓器浸潤(T4),リンパ節転移(特にN2,3)や遠隔転移(M1)が認められる場合である。これらの症例では,根治手術よりは化学療法が優先されると考えられる。また,T3bやN1の場合も,根治的膀胱全摘除術のみの術後の遠隔転移再発の頻度が高いことから考えて,術前,あるいは術後の薬物療法の追加が有効と考えられる。ここでは進行膀胱癌として,これらの全てを,つまりT3,T4あるいはN1-3,M1の症例を対象に考えることにする。

前立腺癌

著者: 宇佐美道之

ページ範囲:P.86 - P.87

 前立腺癌の薬物療法は主として内分泌療法,化学療法,鎮痛療法の三つに大別される。

精巣腫瘍

著者: 村中幸二

ページ範囲:P.88 - P.89

 Cisplatinを中心とした多剤併用療法の進歩によって精巣腫瘍の治療成績は飛躍的に向上しており,進行期精巣腫瘍であっても化学療法単独又は外科的治療との組合せによって高い寛解率がえられるようになってきており,完全治癒を目標とする精巣腫瘍治療における化学療法の位置づけは大きいものがある。ここでは我々が行っている精巣腫瘍(胚細胞腫瘍)に対する治療指針を示し,現時点における化学療法の実際とその問題点についても触れる。

陰茎癌

著者: 工藤潔

ページ範囲:P.91 - P.94

はじめに
 陰茎癌は,米国では男性の全悪性腫瘍の1%以下とされ1),自験例においても1976年から1991年までの16年間に7例をみたに過ぎないごとく,発生頻度が低いため確立された治療法が示されていないのが現状であろう。
 悪性腫瘍の治療原則は根治性にあることは当然ながら、化学療法を主とする保存療法により,可及的,陰茎の形態と機能を保存しつつ根治性を失うことなくquality of life(QOL)を保持できれば理想的である。そこで自験例の治療成績を検討し,文献考察を加えて,本症の薬物療法の現況について概略を述べる。

癌性疼痛

著者: 田利清信

ページ範囲:P.95 - P.97

癌性疼痛の治療の現況
 癌性疼痛にモルヒネ等の麻薬を使用しても中毒にはならないという英国,米国の病院,ホスピスの臨床研究からWHO(世界保健機構)方式癌疼痛治療法が発表され,本邦でも経口の硫酸モルヒネ徐放錠,モルヒネ坐薬の入手が容易になり,癌性疼痛対策が,ここ数年で,非常に進歩した。しかし,癌の多様性と同様,癌性疼痛もさまざまで,あらゆる治療法を駆使して癌性疼痛に対処すべきであることは言うまでもない。

膀胱癌の動注療法

著者: 福井巌

ページ範囲:P.98 - P.99

動注療法の現況
 膀胱癌に対する主たる治療法が外科手術であるのはいうまでもないが,近年,抗腫瘍剤の発達により化学療法の占める地位も高まりつつある。とくに,浸潤性膀胱癌の治療では,予後の改善という観点のみならず,縮小手術もしくは膀胱機能温存治療の発展,すなわちquality of lifeの向上という観点からも,化学療法,特にネオアジュバント化学療法が注目されている。中でも動注療法は,全身化学療法に比しより高濃度の抗腫瘍剤を腫瘍組織に直接到達せしめ得るという利点を有するため,最近,ネオアジュバント化学療法のひとつとして普及する傾向にある。

温熱併用化学療法

著者: 窪田吉信

ページ範囲:P.100 - P.101

温熱併用化学療法の現況
 癌治療目的に温熱療法(ハイパーサーミア療法)を放射線療法や制癌剤化学療法と併用すると,これら治療法自体の抗腫瘍効果のみならず併用での特有の効果と,放射線や化学療法に抵抗性の腫瘍細胞への効果も期待できる。泌尿器科領域では膀胱癌・前立腺癌,腎癌への応用が試みられている。制癌剤投与に温熱療法(通常は42゜〜45℃の範囲)を併用した場合,薬理学的には,薬剤の分布の変化と不活性過程の変化が起こる。腫瘍の局所では,温度上昇に伴って,血流量,血液分布,酸素分圧,pHなどが変化し,また,個々の癌細胞では,細胞膜のポンプ機構や様々な修復機構が変化する。これらの総合した結果,制癌剤の治療効果が高まり,薬剤抵抗性の癌細胞に対しても治療効果が発現することになる。

BRM

著者: 藤岡知昭

ページ範囲:P.102 - P.103

BRMの現状
 BRM(Biological Response Modifiers;生物反応修飾物質)とは,宿主のがん細胞に対する生物学的反応を修飾することによる結果として,がんと宿主間の関係を変え治療効果をもたらすような薬物または試みのことである。現在,BRMとして,臨床的に使用されているかあるいは臨床治験中であるものは,BCG,OK-432,Lactobacillus casei及びNorcardia rubra cell wall skeleton等の細菌製剤および関連化合物,PSK,Lentinan及びSchizophyllan 等の多糖体,その他Ubenimex(bestatine),Levamisole,Bro-primine及びCimetidineなどの生体外産生物と,インターフェロン(IFN:-α,β,γ)及びインターロイキン(IL:-1,2,3,4,6),Thymosin,Transfer factor,Colonystimulating factor(CSF:M-,G-,GM-)及び腫瘍壊死因子(TNF)等のサイトカイン,モノクローナル抗体,腫瘍関連抗原及びマクロファージ,natural killer(NK)細胞,lymphokine-activated killer(LAK)細胞及び腫瘍浸潤リンパ球等のエフェクター細胞等の生体内産生物に大別される。

G-CSF

著者: 片岡達治

ページ範囲:P.104 - P.105

処方の現況と問題点
 泌尿器癌化学療法においても他領域の癌の化学療法と同じく,dose limiting factorは好中球減少となることが多い。G-CSFはその回復のための画期的薬剤として他領域と同様,泌尿器科領域においても実績をあげつつある。MVACを含めて化学療法剤の種類に関係なくG-CSFは好中球回復に効果を示すので,広く普遍的に今後も使用されることになるであろう。
 他方でG-CSFの処方についての問題点も出てきている。もともとG-CSF投与には2つの期待があった。好中球減少による感染症の防止と,休薬期間の短縮による化学療法効果の増強であった。第一点については基本的にはその目的は達せられている。ただし本来感染症が問題となるのは好中球が極度に減少した場合であって,例えばそれは骨髄移植時のように限られたケースになる。通常の化学療法でそこまで顆粒球減少をもたらすことは稀であろう。

感染症

腎盂腎炎

著者: 松本哲朗

ページ範囲:P.107 - P.110

腎盂腎炎とは
 腎盂腎炎は腎盂から腎実質に起こった非特異的な炎症で,一般に大腸菌を始めとする腸内細菌科の通性嫌気性菌による上行性感染によることが多い。尿路に基礎疾患を有する場合,複雑性腎盂腎炎と言い,有しない場合,単純性腎盂腎炎と言う。複雑性腎盂腎炎は慢性,単純性腎盂腎炎は急性の経過をとることが多い。
 i)急性単純性腎盂腎炎:悪寒,戦慄,発熱など急性感染症状を呈し,腎部に一致する側腹部から背部の疼痛のあることが多い。上記症状に加え,膀胱炎症状を伴う場合も多い。性的活動期の女性に多いが,幼小児期にもみられる。起炎菌の多くは特殊な線毛(P線毛)を有する大腸菌のことが多く,線毛を介して腎実質内のレセプターと特異的に結合し,感染を引き起こすとされている。

膀胱炎

著者: 広瀬崇興

ページ範囲:P.111 - P.113

はじめに
 膀胱炎は臨床経過により急性と慢性に,また尿路の基礎疾患(尿流停滞,腫瘍,結石,異物など)の有無により単純性と複雑性に分類される。しかし,臨床的には女性に多い急性単純性膀胱炎と中高齢者に多い慢性複雑性膀胱炎が主体を占める。また症状は急性単純性膀胱炎では排尿時痛,頻尿,残尿感,血尿などであるが,慢性複雑性膀胱炎では症状は軽度で排尿時不快感,残尿感,下腹部不快感などのほか無症状の場合も多い。

前立腺炎

著者: 鈴木恵三

ページ範囲:P.114 - P.116

前立腺炎の概要と現況
 前立腺炎は40〜50歳代の男性に好発する前立腺の炎症で,そのほとんどは慢性症である。前立腺肥大症,腫瘍,留置カテーテル症例など下部尿路系に基礎疾患のある前立腺炎は,治療態度が異なるのでここでは除外する。急性症は,ほぼ例外なくE.coli,K.pneumoniaeといったグラム陰性桿菌(GNR)による感染症である。これに対して,慢性症では起炎菌が確定できる例は30%前後である。残る症例では,感染性か非感染性か容易に鑑別できないが,非細菌性として治療すべき方が多いものと思われる。この中には,最近の傾向として,性行為に基づく感染,特にC.trachomatisによるものが著しく増加を示している。クラミジア性前立腺炎は30歳以下の年齢層に多いことが特長である。
 前立腺炎の治療は,抗菌剤療法とその他の治療法に大別される。急性症は,前立腺の触診でしばしば菌血症を生ずるほど,前立腺実質全域に及ぶGNRの感染で,化学療法の絶対的な適応である.適切な化学療法で1週間程度で有効をみるが,完治するまでにはなお治療の継続が必要である。急性症では,慢性に移行しないように治療を行うことが肝要である。一方慢性症では,半年程度の化学療法を行っても完治する率は30〜40%程度と低い。またいったん治療したとみられる例でも,数か月から1年以内に再発をみることが稀ではない。決め手となる治療手段がないというのが現状である。

精巣上体炎

著者: 小島弘敬

ページ範囲:P.117 - P.119

精巣上体炎の起因菌と鑑別診断
 男子尿道は尿路と精路との体外への開口部であり,1対の射精管と多数の前立腺導管が合流している。尿道には常在菌が存在し,通過障害,異物などの存在により菌量が増加する。男子尿道には移行,円柱,重層の各上皮が存在するが,尿道円柱上皮に外来性に感染する微生物に淋菌,Chlamydia trachomatis(CT)がある。尿道にグラム陰性桿菌,淋菌,CTが増殖する場合,精路に管内性,上向性に感染が拡大して精巣上体炎を生じうる。精巣上体炎の起因菌は尿路に留置カテーテルなどの異常のある高齢者ではグラム陰性桿菌が,若年者では淋菌,CTが多い1)
 未治療の場合CT以外の細菌は初尿,尿道スワブ,精液から容易に分離培養可能である。CT精巣上体炎では菌量に多寡はあるが尿道にCTは必ず存在し,初尿,尿道スワブ,精液からEIA,DNAプローブ,PCRなどにより検出可能である。厳密には尿道また尿道を経由して採取される初尿,精液から検出される微生物が精巣上体炎の起因菌であるとは限らず精巣上体の穿刺による直接の検出が必要であるが,臨床的にはグラム陰性桿菌,淋菌,CTが尿道から検出される場合,精巣上体炎の起因菌とするものが多い。問題となるのは抗菌剤使用後の症例で,この場合細菌学的検出の信頼性は低い。

尖圭コンジローム

著者: 鷺山和幸

ページ範囲:P.120 - P.121

尖圭コンジローム治療の現況
 尖圭コンジロームの診断は肉眼的所見のみで容易であるが,巨大なものや小さなものは判断に迷うこともある。このようなときは組織学的に,悪性化とヒト乳頭腫ウイルス(HPV,Human Papilloma Virus)の感染の有無について検索を行うことが必要である。表1に鑑別すべき疾患を示す。
 HPV感染の確定には,表皮細胞層に核周囲に暈輪を持つ細胞(Koilocyte)を確認するか,HPV-DNAの検出を行うことが必要となる。

尿道炎

著者: 小野寺昭一

ページ範囲:P.122 - P.124

尿道炎の現況
 尿道炎のほとんどはSTD(SexuallyTransmitted Diseases)性のものであり,大きく,淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎とに分けることができる。非淋菌性尿道炎の原因微生物としては,Chlamydia trachomatis(クラミジア)が最も重要であり,非淋菌性尿道炎の30〜50%はこのクラミジアによるものとされている。また,淋菌性尿道炎の20〜30%はクラミジアを合併しているため,現在ではSTD性尿道炎を,淋菌性,淋菌性クラミジア性,クラミジア性,非淋菌性非クラミジア性の4つに分けるようになってきている。
 淋菌性尿道炎の患者数は,1984年頃をピークとした増加がみられたが以後横這い状態となり,近年は減少傾向が続いている。一方,非淋菌性尿道炎は1979年以後増加しており,1986年頃からは淋菌性尿道炎の約2倍の患者数がみられている。

性器ヘルペス

著者: 新村眞人

ページ範囲:P.125 - P.126

抗ウイルス剤治療の現況
 これまで性器ヘルペスの治療は,ほとんどが対症療法であったが,わが国では1985年からビダラビン(アラセナA)の点滴静注剤が,その翌年からアシクロビル(ゾビラックス)の点滴静注剤が,悪性腫瘍,膠原病などの免疫不全を伴う患者の単純ヘルペスに使用できるようになった。また,1988年以降はアシクロビルの200mg錠が単純ヘルペスウイルス感染症に使用されている。さらに昨年から抗ウイルス外用剤である3%ビダラビン軟膏も使用できるようになり,5%アシクロビル軟膏は既に臨床治験が終了して,間もなく使用できるようになることが期待されている。
 このように,性器ヘルペスに対しては,点滴静注剤,経口剤および外用剤の抗ウイルス剤が使用できるようになったので,症例により剤型を選んで治療を行う必要がある。抗ウイルス剤を使用することにより,急性期の性器ヘルペスの治療は,ほぼ満足のできるものとなったが,再発型の性器ヘルペスでは,再発を予防することができないという問題点が残されている。

結核

著者: 加藤幹雄

ページ範囲:P.128 - P.129

結核治療の現況
 尿路性器結核の罹患率が1970年代後半より急激に減少したこととあいまって,ほぼ同時期より治療法についての論議は限られたものとなっている。これは現在主に用いられる二者もしくは三者の併用化学療法によって,一般的には治療困難例が認められないことを意味しよう。また尿管狭窄に伴う手術適応も内視鏡的手段の進歩に伴って減少している。適切な薬剤の投与期間や,その点と密接に関連した手術療法の適否に対する問題は,長い論議を経て,最近は一年未満の投薬期間で,特別な例を除き手術は併用しないとする見解が多く認められるが,完全に定説とはなり得ていない。症例数が限られ,耐性菌出現頻度が各国間で異なることなどを考慮すると,当分の間これらの点についての意見の一致が見られないことも予想される。

膀胱尿管逆流

著者: 公文裕巳 ,   小野憲昭

ページ範囲:P.130 - P.132

 膀胱尿管逆流(vesicoureteral reflux:VUR)は、膀胱内の尿が膀胱の充満時あるいは排尿時に尿管,腎盂,さらには腎実質内に逆流する病的現象であり,尿管膀胱接合部の逆流防止機構の不全により起こる。
 膀胱への進入細菌が逆流によって容易に腎まで上行するために,VURは反復性の腎盂腎炎の重要な基礎疾患のひとつである。さらに,尿の腎内逆流と細菌感染にともない腎皮質に不可逆性の瘢痕を生じ,逆流性腎症(reflux nephropathy)と呼ばれる病態を呈し,一部の症例では慢性腎不全に進行する。

尿路真菌症

著者: 大川光央 ,   徳永周二

ページ範囲:P.133 - P.135

 Compromised hostの増加に,強力な抗菌化学療法の広汎化も加わって真菌症は増加しており,尿路も例外ではない。尿路から分離される真菌の大半はCandida spp.で,その中でもCandidaalbicansの分離頻度が最も高く,CandidatropicalisやCandida glabrataなどの分離頻度も比較的高く,ここでは尿路Candida症について述べる。

抗菌抗生剤の副作用

著者: 岸洋一 ,   舩津久美

ページ範囲:P.136 - P.137

抗生剤の副作用
 1.ペニシリン系,セフェム系
 薬剤過敏症としてのアレルギー反応はほとんどすべての抗生剤で報告されているが,ペニシリン系に最も多く,次いでセフェム系である。即時型と遅延型に大別され,前者は投与数分から数時間に現れ,鼻炎,蕁麻疹から重篤なアナフィラキシーショックに至るまでの症状を呈する。遅延型は発疹,蕁麻疹,紅斑,皮膚炎,関節痛,リンパ節腫脹等多彩である。重篤なアナフィラキシーショックの多くはペニシリン注射剤によるもので,ペニシリン経口剤やセフェム系では頻度は極めて低い。

梅毒

著者: 岡本昭二

ページ範囲:P.138 - P.139

梅毒治療の現況
 ペニシリン系薬剤が梅毒の治療に優れた効果をあげてから,すでにほぼ半世紀が過ぎている。しかし,ペニシリン系薬剤が梅毒治療の主流を占めていることには変わりがない。現在でも,欧米諸国ではペニシリン系薬剤の注射による梅毒の治療が通常の治療方式であるが,わが国では神経梅毒を除いた梅毒の治療には,ペニシリン系薬剤の内服による治療が主体を占めている。神経梅毒では,経口的に投与されたペニシリンの髄液への移行がよくないので,高濃度のペニシリンを注射により投与することが必要とされている。副作用などで,ペニシリン系薬剤が使用不可の時は,マクロライド系薬剤またはテトラサイクリン系薬剤により梅毒の治療が行われている。

トリコモナス

著者: 河村信夫

ページ範囲:P.140 - P.141

はじめに
 トリコモナス属で人体に感染するものは3種ある。Trichomonas vaginalis,(膣トリコモナス,以下TVと略記),Trichomonas tenax(口膣トリコモナス),Trichomonas hominis(腸トリコモナス)の3種で,尿性器に感染するものはTVしかない。したがってトリコモナスという表題であるが,以下TVのみについて記して行く。
 TVは再発のあり得る感染症であり,性(行為)感染症(Sexually transmitted diseases,STD)であるので,再感染もあり得る。免疫は臨床的には生じない。
 泌尿器科的TV感染は,経口剤が主体になる。婦人科的感染症には,局所洗浄,膣坐剤,膣錠,経口剤などの投与が行えるが,今回はこれらについて述べず,必要あれば産婦人科のテキストを参照されたい。
 経口剤はメトロニタゾール(MNZ),チニダゾール(TNZ)の2種が本邦で手に入り,外国ではさらにニトロフラン系の薬剤も用いられる。

間質性膀胱炎

著者: 原徹

ページ範囲:P.142 - P.143

間質性膀胱炎の治療の現況
 間質性膀胱炎(interstitial cystitis以下IC)の診断,治療にはまずこの疾患の定義を再度確認する必要がある。1987年に行われたworkshop on Interstitial cystitisの結論では表1の診断項目があげられている。これより診断は容易であるような印象を受けるが実際には同様の尿路不定愁訴を呈する疾患は少なくなく,除外診断を一通り終えてから後ICの確定診断が行われる。現況ではICの治療方法としては確立したものはなく,種々の保存的治療が行われている。また保存的治療方法では再発率も高く,一方,自然治癒する症例もあり有効度の比較は困難である。ICの原因としては細菌感染説,自己免疫疾患説,アレルギー説,血流障害説など言われているが本態は不明である。このためICの進行が保存療法では止められず高度の萎縮膀胱に陥り,尿路変更を余儀なくされる症例もある。さらには尿路変更として腸管を利用しても下腹部痛などの症状がとれず再手術を行った例も報告されており,問題をより複雑にさせているのが現状である。

MRSAの対策

著者: 坂義人

ページ範囲:P.144 - P.146

MRSAの現況
 メチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)は多くの抗菌薬に耐性を示すため,本菌による感染症は治療に難渋することが多い。泌尿器科領域では高齢者が多く,さらに癌患者,腎移植患者,高齢者の術後等々のいわゆるim-munocompromised hostが多いため,常にMRSA感染症の危険性に晒されているといえる。尿路のMRSAは創部や他臓器に波及する可能性があるばかりでなく,他の患者への感染源になる可能性も大きいので,MRSAに対する細心の注意が必要である。

排尿障害

蓄尿障害

著者: 山田薫

ページ範囲:P.147 - P.149

蓄尿機能とその障害
 蓄尿機能とは膀胱へ流入する尿を一定の容量(成人では250〜350ml)まで排出することなく貯留する機能のことである。しかし,種々の原因で正常な容量までの蓄尿ができず,尿失禁や頻尿を来たすことがある。この状況を蓄尿障害と呼ぶ。膀胱の機能を考える場合,蓄尿機能と排尿機能は一連のものであり,蓄尿障害だけが独立してみられることは少なく,排尿障害と混在することが多い(図)。この項では頻尿,尿失禁を主体とした蓄尿障害の原因と治療について述べる。

排尿障害

著者: 高木隆治

ページ範囲:P.150 - P.152

薬物療法の現況
 排尿障害(排出障害)に対する治療は,まず,原疾患の正しい診断より始まる。排尿障害を生ずる代表的疾患には以下の如きものがある。
 ・神経因性膀胱  ・前立腺肥大症 ・前立腺癌    ・膀胱頸部硬化症 ・尿道狭窄.など。
 本項では主として神経因性膀胱に伴う排尿障害に対する薬物療法を中心に述べる。薬物療法は神経因性膀胱自体を治癒させるわけではなく,対症的な治療である。また,薬物療法による排尿障害の改善は一定の限界があり,さらに排尿障害の改善が一尿失禁の増悪を招くことがある。尿失禁は社会生活の妨げになる。したがって,症例によっては清潔間欠自己導尿(clean intermittent catheteriza-t{on)が選択される。

切迫性尿失禁

著者: 曽根淳史

ページ範囲:P.153 - P.155

切迫性尿失禁とは
 切迫性尿失禁とは尿意が生じると我慢ができなくなり失禁してしまうものである。高齢者や痴呆性老人に認められる尿失禁の多くは切迫性であり,尿失禁のなかでは比較的管理が難しい。切迫性尿失禁は大きく2種類に分けることができる。ひとつは知覚性切迫性尿失禁(Sensory urge incontinence)であり,激しい膀胱炎や前立腺肥大症,膀胱結石などで強い尿意が生じたときにおこる。この強い尿意に対して中枢での排尿の抑制が十分に効かず尿失禁をおこすものである。もうひとつは運動性切迫性尿失禁(Motor urge inconti-nence)で上位の排尿反射中枢から橋や脊髄の排尿反射中枢に対してかかる排尿の抑制が十分でないため,弱い尿意でもそのまま排尿反射が生じてしまうもので,乳幼児の排尿状態に比較的近い状態である。この場合,多くは中枢神経系の基礎疾患を持っており,脳血管障害後遺症やパーキンソン症候群,脳変性疾患などが代表的疾患である(図1)。

腹圧性尿失禁

著者: 安田耕作

ページ範囲:P.156 - P.157

薬物療法の現況
 腹圧性尿失禁薬として承認されている薬物はまだない。しかし三環系抗うつ薬,アルファ受容体刺激薬とベータ受容体刺激薬については正当な試験にて効果が確認されている。わが国においては,アルファ受容体刺激薬については臨床治験中であり,ベータ2受容体刺激薬(スピロペント)については適用を得るべく申請中である。

夜尿症

著者: 妹尾康平

ページ範囲:P.159 - P.161

 夜間遺尿の関連要因と特発性夜尿の自然経過 小児の遺尿の中には,①尿量が多いための遺尿,つまり尿崩症・糖尿病・腎疾患(ネフローゼなどの内科的なもの,水腎症のような尿路奇形)など低浸透圧・多尿によるものと②蓄尿と排尿のコントロールが不十分なもの,すなわち神経因性膀胱・知能発育障害などの精神・神経障害に由来する尿失禁もある。一方,これら明らかな要因疾患を特定出来る続発性失禁に対して③原因疾患を特定出来ない典型的な特発性夜尿がある。要因をはっきり特定出来る①と②の場合をまず除外し,いわゆる夜尿症についてみても,すべての夜尿児が均一な徴候,表現型を呈するのではなく,個々の症例でいろいろな徴候に表現の強弱や特長がみられる。夜間遺尿を取扱うに際しては,これらの分別を出来るだけ(しかし年齢相応にnon-invasiveな形で)客観的・他覚的にとらえることが大切となる。

中枢神経障害による排尿障害

著者: 宇髙不可思 ,   西中和人 ,   若月晶

ページ範囲:P.162 - P.163

尿失禁の病態別薬物治療
 1.切迫性尿失禁(urgency incontinence)
 症状・病態:突然あるいは頻回に起こる強い尿意を抑制できずに失禁する状態。
 原因疾患:感覚性切迫性尿失禁は炎症などの刺激が原因で生じる。運動性切迫性尿失禁は核上性神経因性膀胱で,脳血管障害,パーキンソン病の他,中枢神経疾患でしばしば認められる。
 治療:運動性切迫性尿失禁の治療には膀胱平滑筋に対する直接の弛緩作用と抗コリン作用を有する塩酸オキシブチニンを投与。抗コリン薬,膀胱平滑筋に直接作用する塩酸フラボキサート,カルシウム拮抗薬なども試みる。

尿道機能異常

著者: 水尾敏之

ページ範囲:P.165 - P.167

 尿失禁と排尿困難,尿閉が尿道機能異常の代表的症状と考えられる。尿道機能の異常のみでこれらの症状が認められるわけではなく,膀胱の蓄尿や排尿機能と密接な関係を有している。したがって尿道と膀胱の機能がどのような状態にあるかを正確に把握し,臨床症状とどのように関係しているかを知ることが,治療の第一歩になる。以下に尿道の生理,膀胱尿道機能検査法について簡単に述べ,薬物療法とその問題点についてふれたい。

前立腺肥大症

抗アンドロジェン剤

著者: 今井強一 ,   山中英寿

ページ範囲:P.168 - P.169

抗アンドロジェン剤の現況
 前立腺がアンドロジェンの標的臓器であることより,前立腺癌と前立腺肥大症の治療に用いられてきたホルモン療法は,血中テストステロンを低下させる療法とアンドロジェンの作用機序を阻害する療法とに分類される。後者の作用を持つ薬剤を広義の意味で抗アンドロジェン剤と呼ぶ。抗アンドロジェン剤が登場した頃の薬剤がアンドロジェンとそのレセプターとの結合阻害を主作用としたためか,抗アンドロジェン剤とはこの結合阻害作用を有する薬剤を指し,何時の間にかこれが総称となった感さえある。本邦では,ステロイド構造を有する薬剤のみが保険適用となっているが,ステロイド構造を有しない抗アンドロジェン剤も近い将来には登場するであろう。また,5α還元酵素阻害剤の治験も進んでいるので,これも市場に登場する日が近いと思われる。これら,非ステロイド性抗アンドロジェン剤や5α還元酵素阻害剤は性機能障害が低い薬剤として期待されている。

前立腺肥大症薬(抗男性ホルモン薬を除く)

著者: 堀内和孝 ,   西村泰司

ページ範囲:P.170 - P.171

薬物療法の現況
 前立腺肥大症に対する治療法としては手術療法と,薬物療法を含めた保存的療法がある。手術療法も著しい進歩がみられるが,前立腺肥大症は良性疾患なので,必ずしも初期より手術療法を行う必要はなく,保存的療法を優先することが望ましいと思われる。その間に,前立腺肥大症以外の排尿障害の原因や前立腺癌合併の有無について十分な検討ができる。また,前立腺肥大症は高齢者に多い疾患なので,高血圧,心疾患,糖尿病,脳血管障害など様々な合併症を有している場合があり,手術侵襲に耐えられない症例も少なくない。したがって,保存的薬物療法のもつ意義は重要である。現在までに漢方,植物製剤,アミノ酸製剤,臓器製剤,アンチアンドロジェン剤,α1ブロッカーなどが試みられ,かなりの臨床効果を得ている。漢方およびアンチアンドロジェン剤については他項で述べられているので,ここではそれ以外の薬物療法について述べる。

和漢薬療法

著者: 布施秀樹 ,   片山喬

ページ範囲:P.172 - P.173

和漢薬療法の現況
 前立腺肥大症は50〜60歳代で50%,70歳代で75%,80歳代では95%と年齢とともにその頻度が増加する1)。したがって高齢化社会を迎える我が国においては,本症は増加傾向にある。さらに最近では,前立腺肥大症に関する情報に接する機会が多くなり,一般の人に本症に関する知識が普及してきており,外来を訪れる患者も直ちに外科的手術の対象となるものよりも,まずは薬物投与を試みる患者が増してきている。これらの症例に対しては,一般に抗アンドロゲン剤,植物エキス製剤,アミノ酸製剤,α-ブロッカーなどが投与されるが,近年これら西洋医学的手法による薬物療法のみならず,和漢薬が試みられて良好な成績が報告されている2,3)

内分泌疾患

褐色細胞腫

著者: 古川利有

ページ範囲:P.175 - P.177

はじめに
 褐色細胞腫は高血圧を来す外科的疾患の中では頻度の少ないものであるが,その臨床像は多彩で時に劇的な様相を呈し臨床的に興味ある問題点を含んだ腫瘍である。
 本症の診断,治療については診断技術が稚拙でかつ循環動態の理解が不十分な時代では手術療法による死亡が高率にみられた。現在診断面ではカテコラミンの精密な測定とCTやMRIさらにシンチグラフィーなどによる部位診断が一層確実なものになっており高血圧を自覚せず画像診断に偶然発見されることも珍しくはなく,高血圧を全く示さない症例も報告されている。治療面では α-blocker,β-blockerが導入されたことと麻酔法および手術手技の進歩と共に腫瘍の摘出も安全に行われるようになっている。

クッシング症候群

著者: 金子尚嗣 ,   中田瑛浩

ページ範囲:P.178 - P.179

 コルチゾールの慢性的過剰分泌によって生じる症候群を総称してクッシング症候群と呼び,病因により表1のように分類される1)。通常,泌尿器科医が遭遇するのは副腎皮質腺腫(adenoma),癌(carcinoma),原発性結節性異形成(primarymicronodular dysplasia)および結節性過形成(macronodular hyperplasia)である。本稿では紙面も限られており,副腎性(ACTH非依存性)クッシング症候群のコルチゾール過剰症状に対する薬物療法について述べる。ACTH分泌抑制剤については文献を参照されたい1,2)

原発性アルドステロン症

著者: 塚本泰司 ,   熊本悦明

ページ範囲:P.180 - P.181

原発性アルドステロン症とその診断
 CTスキャンあるいは超音波検査法などの画像診断法の進歩,普及に伴い副腎腫瘍が偶然に発見される機会が増加していることは周知の事実である。これまでに報告されたこのようないわゆるincidentalomaでは臨床的に内分泌非活性の副腎皮質腺腫,副腎嚢腫あるいは内分泌活性の褐色細胞腫の頻度が高いことが示されている。一方,原発性アルドステロン症はほとんどの場合臨床的な症状あるいは所見を伴う。原発性アルドステロン症は広義にはその原因としてアルドステロン産生腺腫,特発性アルドステロン症,糖質グルココルチコイド反応性アルドステロン症,アルドステロン産生副腎皮質癌などを含む。これらの中では当然アルドステロン産生腺腫の頻度が高いが,特発性アルドステロン症が全体の15%〜35%を占めるとする報告もある。
 一般にアルドステロン産生腺腫の場合は腺腫の大きさが2.0〜2.5cm以下の場合が多く,当科での69例においても2〜2.5cm以下の大きさの腺腫が全体の70%を占めていた。したがって,CTスキャンを行う場合は撮影のスライス幅を0.5mm間隔にするなどの工夫が必要である。なお,当科での経験ではCTスキャンによる腺腫の正診率は100%,副腎シンチグラムでは91%であった。

先天性副腎過形成症

著者: 田苗綾子

ページ範囲:P.183 - P.185

疾患の概略
 先天性副腎皮質過形成症(CAH)は副腎のホルモン合成過程における酵素が各段階において遺伝的に欠乏しているために生ずる疾患である。酵素欠乏部位,程度などにより病型が異なるものである。すなわち,21-hydrox-ylase欠損症(21-OHD)が約90%を占め,政府のもとに1990年より,新生児マススクリーニングの一環に組み込まれ発見が容易になっている。その発症頻度は1/19,806で,中国・四国地方は約2倍の高率を示している。っいで,cholesterol desmolase欠損症(比較的日本に多いと外国学者はいう),17α-hydroxylase欠損症,3β-hydroxysteroiddehydrogenase(HSD)欠損症,11β-hydrox-ylase欠損症などの病型がある。その他の病型は極めて稀である。
 21-OHDにおいては症状の程度の差で,塩喪失型と単純男性化型にわけられる。このように病型により治療が異なるのを特徴とするが,副腎ホルモン剤の投与が共通した治療法である。

男子不妊症

著者: 渡辺政信

ページ範囲:P.186 - P.187

男子不妊症治療の現況
 男子不妊症の診断面では精子機能検査,精索静脈瘤の超音波カラードップラー法など新しい技術の開発がなされてきているが,治療面では満足すべき成果が得られていない。しかし泌尿器科外来における男子不妊症の割合は増加する傾向があり,日常診療の中で対応していく必要性が高まっており,閉塞性無精子症に対する外科的治療や,さらに体外受精を組み入れた治療により妊娠不可能とされていた症例にも妊娠例が報告され,治療の進歩が期待されている。その中で,男子不妊症の多くを占める特発性造精機能障害の治療が重要であるにもかかわらず,確立された治療法がないのが現状である。造精機能障害の原因追及による合目的な薬物療法が望まれており,精巣組織の基礎的検討から考えられたα-blockerとβ-stimulantの併用療法やmastcell blockerであるケトチフェンなどが試みられている。

インポテンス

著者: 高波真佐治

ページ範囲:P.189 - P.191

インポテンス治療の現況
 インポテンスと一口に言っても,その原因は種々存在し,原因によって治療法が異なるので,まず問診によって,その発症時期,思い当る原因やきっかけを明らかにし,その原因が機能性であるか器質性であるかを推測する。そして,原因が機能的と思われた場合は,患者の性格や周囲の環境,対人関係などをさらに詳しく聴取し,患者自身の状態を医師が十分に知っておくことが大切である。その後,ホルモン検査と共に勃起機能検査を施行する。その結果で以下のような治療を行う。

睾丸機能不全症

著者: 福谷恵子

ページ範囲:P.192 - P.193

睾丸機能不全症の分類と治療目的
 睾丸機能不全症は睾丸原発性障害と間脳,下垂体疾患による続発性障害に大別され,前者は高ゴナドトロピン性で,後者は低ゴナドトロピン性である。その代表的疾患と治療法を表に示した。睾丸原発性の疾患では睾丸組織は不可逆的な障害を受けており,治療による回復の見込みは期待できないので治療はアンドロゲン補充療法となる。続発性睾丸障害に対する治療の目的は男性二次性徴の完成と精子形成能の獲得である。障害部位およびその程度に応じて表のいずれかの治療法を選択する。

性早熟(男子)

著者: 簑和田滋

ページ範囲:P.194 - P.195

性早熟(男子)の分類と治療の原則
 性早熟とは思春期以前に同一性方向(isosex-al)に性的成熟(puberty)が進行するもので,男子ではおおよそ9歳以前に明らかな男性二次性徴の発来がみられる病態である。
 男子における思春期早発症の病因を表1に示すが,70〜80%は性中枢の異常による真性性早熟である。このうち特別の器質的異常のみられない特発性のものが女子では過半数にみられるが,男子では特発性は約3分の1と少なく脳腫瘍によるものの割合が高い。脳神経系の腫瘍としては視床下部腫瘍(ことに過誤腫),灰白隆起部腫瘍,下垂体腫瘍,松果体腫瘍などが認められている。非腫瘍性病変としては脳炎,髄膜炎,外傷,水頭症,放射線障害などにみられる。

思春期遅発症

著者: 伊藤晴夫

ページ範囲:P.196 - P.197

疾患概念
 思春期遅発症は思春期の発来が遅れる病態を総称することもあるが,通常は体質性思春期遅発症を意味する。これは男子における思春期発来の時期である12〜14歳になっても,二次性徴および身体発育の進展がみられず,性的に未熟なままにとどまっている状態である。小児の3%に二次性徴発現の遅れがみられるとも言われるので,臨床上しばしば遭遇する。以前より,いわゆる奥手と言われていたものである。15歳以降に,二次性徴が出現し,4〜5年で完成するが,成長スパートが遅れるため,健常児に比べて,14〜15歳で,低身長が著明となる。間脳性中枢の成熟の遅れが原因とされ,治療しなくても,性の成熟は完成する。

性ホルモン補充療法

著者: 野々村克也

ページ範囲:P.198 - P.199

性ホルモン補充療法の現況
 泌尿器科領域における性ホルモンの補充療法の範囲は広く,①矮小陰茎に対するアンドロジェン療法,②停留精巣に対するhumanchorionic gonadotropin(hCG)投与,③性腺形成不全症に対するアンドロジェンあるいはエストロジェン投与,④低ゴナドトロピン(GnH)性類宦症・思春期遅発症に対するゴナドトロピン放出ホルモン(Gn-RH)あるいはhCG・menopausal GnH(hMG)投与,⑤高GnH性類宦官症に対するアンドロジェン投与などが行われている。ホルモンの投与方法・効果は個々の症例の年齢・各々の疾患の種類や程度によって大きく異なり,かつ治療期間も通常長期にわたるため,いずれの場合も3〜6か月に一度は身体的徴候の変化・血中性ホルモン・精液等を定期検査し,薬剤の投与量・間隔を調整することが望まれる。③〜⑤については他項目と一部重複すると思われるが,本項では男性化を促すアンドロジェン・GnHについて解説する。

尿路結石

カルシウム結石

著者: 小出卓生

ページ範囲:P.200 - P.201

特発性カルシウム結石症とは
 原発性上皮小体機能亢進症や腎尿細管性アシドーシスなどのような外科的・内科的に結石基礎疾患の治療法の確立したものを除いた,原因の特定や治療が困難なカルシウム結石症を指す言葉が特発性カルシウム結石症である。特発性カルシウム結石症の原因のなかには,過カルシウム尿症・過蓚酸尿症・過尿酸尿症・低クエン酸尿症・低マグネシウム尿症などの低分子塩類の代謝異常とカルシウム結石形成に抑制的に作用する高分子物質の代謝異常が複雑に関与する。

シスチン結石

著者: 戸塚一彦

ページ範囲:P.202 - P.203

シスチン尿症治療の現況
 シスチン尿症の治療はシスチン結石の再発予防と溶解からなる。シスチン結石の再発予防と溶解は,多量の水分摂取で尿量を増やして,尿中シスチン濃度を低下させることが基本になる。シスチンの前駆物質であるメチオニンは動物性蛋白質に多く含まれるので,動物性蛋白質の過剰な摂取は避けるべきである1)。同時に,野菜や果物などアルカリ性食品の摂取は積極的に勧めるべきである。しかし,適切な食事療法にてもシスチン結石の再発を来す症例,シスチン結石の溶解を試みる症例では以下の薬物による治療が必要である。
 重曹とクエン酸塩は尿のアルカリ化によってシスチンの溶解度を高める。D—ペニシラミンとチオプロニンは体内でシスチンと結合して易溶性の複合体を形成し,シスチン排泄量を減少させる。また,アスコルビン酸は還元作用により尿中のシスチンを易溶性のシステインに変え,シスチン尿を多少軽減させる2)

尿酸結石

著者: 矢崎恒忠

ページ範囲:P.204 - P.205

尿酸結石の成因
 尿酸結石は尿路結石のうち約5〜10%を占めていてさほど頻度の高いものではない。しかし尿路結石の大部分(約80〜90%)を占めるカルシウム含有結石と異なり,薬物療法が治療(結石溶解)および再発防止に有効である。
 尿酸はプリン代謝の最終産物であり,その起源は食事によるもの,生体内で新生されるもの,組織の代謝(細胞内のRNAより)によるもの等がある1)。食事により1日約400mg,その他が1日約400mgの計800mgが1日に産生される。

感染性結石

著者: 金村三樹郎 ,   横山正夫

ページ範囲:P.206 - P.207

感染性結石とは
 尿路結石症例では尿路感染をしばしば伴っている。尿路結石と尿路感染との関係はどちらが原因でどちらが結果であるか二つの場合が考えられる。蓚酸カルシウムや尿酸,シスチンなどは感染と関係なく発生し代謝結石と呼ばれるが時に二次的に尿路感染を伴う。燐酸マグネシウムアンモニウム(struvite)や燐酸カルシウム炭酸塩などは尿路感染がもとで結石が形成され感染性結石とも呼ばれ,多くの場合尿路感染を伴っている。稀な結石ではあるが尿酸水素アンモニウム結石も感染が原因であると考えられる。尿路に感染する細菌のうちProteus, Pseudomonas, Klebsiellaなどはureaseを産出しアンモニアを生成する。この結果,尿はアルカリ性となりアルカリに不溶性な燐酸塩,特に燐酸マグネシウムアンモニウムなどが析出し結石が形成されやすくなる。細菌や感染による脱落細胞などの有機物も多くなり,基質が増加して結石形成を促進する。感染性結石は一旦形成されると急速に増大し腎ではしばしばサンゴ状結石となる。下部尿路結石として発見されることも多い。尿中のみでなく結石内にも細菌が証明されることが多く,単なる抗生物質投与では尿路感染の治療は困難である。さらに腎機能も急速に悪化しやすい。

自然排石促進法

著者: 本田幹彦

ページ範囲:P.208 - P.209

自然排石の期待できる結石
 尿路結石の自然排石促進を考える前に,まず治療対象となる結石が本当に自然排石の期待できる結石であるか検討しなければならない。
 通常,以下の項目についての検討を行い,自然排石促進をはかるかどうか決める。

米糠製剤によるカルシウム結石の再発予防療法

著者: 戎野庄一 ,   吉田利彦 ,   大川順正

ページ範囲:P.210 - P.211

結石の再発予防療法の現況
 尿路結石の治療において,外科的な治療は内視鏡手術の発展と体外衝撃波砕石術の開発と普及により,近年大きな変貌を遂げた。この革命的ともいえる変革は,結石患者に福音をもたらしたと言っても過言ではない。しかしながらその一方では,これらの治療法が極めて安易に施行され過ぎるために,結石発生の機序解明ならびに再発予防に対する地道な基礎的および臨床的な研究あるいは努力がなおざりにされつつある傾向も否定できない。
 本稿の序論として尿路結石の治療の本質は,その発生機序の解明と再発予防療法にあるということを改めて強調しておきたい。

尿路結石の再発予防

著者: 竹内秀雄

ページ範囲:P.213 - P.215

 近年尿路結石はESWLやPNL,TULなどの新しい治療法が導入され,比較的容易に処置されるようになってきたが,小結石の遺残などの問題もある。従来の尿路結石の再発頻度は30〜50%と言われるが,遺残小結石増大の仮性再発を含めるとさらに頻度が増えているものと思われる。
 ここでは再発予防対策はどの様な手順でなすべきか,薬物治療はどう行うかについて結石成分全般について述べる。

尿路結石と漢方

著者: 井口正典

ページ範囲:P.216 - P.217

 本邦における尿路結石症の発生頻度は第2次世界大戦後急増しており,今日では昭和20年代初めの約3倍に達している。1985年に行われた全国380病院の集計による尿路結石症に関する第4回全国調査によると,5.4%の国民が一生涯のうちに一度は尿路結石に罹患すると予側されている。また著者が1992年に市の協力を得て行った貝塚市の尿路結石症に関する疫学調査でも,男性で14%以上,女性で7%以上,全体で10%以上の市民が一生涯のうちに一度は尿路結石に罹患するという結果が得られている。このように尿路結石症は現代の社会でも増加傾向にある文明病的性格を持つ疾患である。戦後本邦で尿路結石症が急増した主な原因は,肉食を中心とした食生活の欧米化であり,欧米と同様に上部尿路結石症が全尿路結石症の95%を占める。漢方医学では,尿路結石症は"砂淋","石淋","血淋"の範疇に属するが,主に下部尿路結石の症状を指しているものと推察される。

その他

内視鏡に必要な薬剤

著者: 間宮良美

ページ範囲:P.218 - P.219

 泌尿器内視鏡検査および内視鏡手術の際に必要となる主な薬物について以下に述べる。なお,検査は外来で,手術は入院で行うことを前提とした。

腎移植の薬物投与法

著者: 高橋公太

ページ範囲:P.220 - P.221

 腎移植における薬物療法の現況
 腎移植は,透析療法とならんで慢性腎不全の有力な治療手段であり,根治的な治療であり薬物療法の進歩によりその成績は飛躍的に向上した。今回は,腎移植の薬物療法について免疫抑制薬を中心に述べ,併せて合併症の第一位である感染症に対する薬剤などについても触れたい。

心身症に対する薬物療法

著者: 黒田俊

ページ範囲:P.223 - P.225

心身医学的治療のアプローチ
 泌尿器科領域では,心理的要因が強いいくつかの疾患が知られている。(表1)
 これら疾患に対する心身医学的治療選択の方法を図1に示した。(図1)
 ここで注意したいのは,すでに投与されている中枢神経系薬剤(精神科薬剤)や循環器系薬剤などの排尿機能や性機能への影響を常に留意することである。また,これらの疾患の中には,身体病と区別が容易でないものがある。従って,泌尿器科医が心身医学的素養を身につけて診療に当たることがすすめられる。

術前,術中,術後に必要な糖尿病コントロール

著者: 高橋良当 ,   大森安恵

ページ範囲:P.226 - P.227

 糖尿病のコントロールというと血糖コントロールだけを考えがちであるが,そのほかの重要な管理も含めて述べてみたい。

腎不全時の抗生物質投与法

著者: 原田忠

ページ範囲:P.228 - P.230

 抗生物質が体内から消失する経路には,1)腎臓から排泄されるもの,2)腎以外(主に肝臓)から排泄されるもの,3)主として腎であるが腎以外の排泄もあるもの,の三つに大別される(表)。
 腎臓から排泄される薬剤を腎不全患者に用いると,体内に蓄積し,副作用を生じる危険がある。また透析あるいはCAPDを行っている腎不全患者では,薬剤の透析性についても考慮しなければならない。以下個々の薬剤について解説する。

術後せん妄の薬物療法

著者: 宮岡等

ページ範囲:P.231 - P.233

 手術に関連して生じる精神症状は,術前の不安,術後急性期のせん妄,その後の抑うつなどと多彩である。本稿ではこのうち臨床で最も問題になりやすく,精神科医が関与する機会の多い術後せん妄について薬物療法を中心に概説する。

術前,術中,術後輸液の実際

著者: 和佐勝史 ,   岡田正

ページ範囲:P.234 - P.237

腎臓は水電解質代謝,酸塩基平衡を調節する重要な臓器でありその機能が低下した病態における輸液管理は非常に重要である。腎機能障害を有する患者の輸液管理の方法は腎障害の原因,病態(乏尿性,非乏尿性)によりさまざまであるが輸液療法の基本的な方針は
 1)細胞外液異常の是正
 2)代謝産物の排泄促進
 3)栄養状態の改善
 4)腎機能の保持
 である。術前より輸液管理を必要とする例は一般的には少なく,臨床的に最も重要なのは術後の急性腎不全に対する輸液栄養管理であるが,本稿ではまず腎機能障害症例における術前,術中の輸液管理を述べ,次に術後急性腎不全症例と慢性腎不全症例の術後輸液栄養管理に関して述べる。

Coffee Break

癌告知を実践して

著者: 三沢一道

ページ範囲:P.13 - P.13

 癌の意味が理解できない幼児や老人痴呆患者などを除いて,全悪性腫瘍患者に告知を行っている。インフォームド・コンセントの重要性が強調されている現在,つらい手術や化学療法がなぜ必要なのかを患者が理解し,積極的に治療にとりくむためには,癌の告知は絶対必要と考えるからである。また,予後不良であっても,自らの病状を認識し,やり残したことを解決する時間的余裕を持たせるために,やはり告知する。しかし各々の患者は病態や性格,家庭・社会環境が異なるのだから,事務的かつ一様に告知するわけにもいかず,その実際はなかなか難しい。当然,告知後の精神的支持が最も重要であることは言うまでもなく,当科では看護婦も婦長を中心に積極的に精神的ケアに取り組んでいる。また院内で運営されている「死の臨床を学ぶ会」に問題を提起し,模索も行ってきた。それでも問題は尽きず,頭の痛いことも多いが,告知の必要性をより実感できる今日この頃である。
 近年エイズの流行が巷でいわれ,いずれは泌尿器科患者のなかにも,多くのHIV陽性者が発見できるであろう。エイズであれば,殆どの医師は患者に告知するであろうから,社会的条件が異なるとはいえ,同様に重大な疾患として「癌を告知すべきか否か」などという論争は吹き飛ばされてしまうかもしれない。ともあれ癌の告知には細心の注意と患者の性格把握が必要であるとは勿論であるが,患者全員に最低100項目に及ぶ性格テストを施行するわけにもいくまい。

医師過剰時代

著者: 緒方二郎

ページ範囲:P.29 - P.29

 1992年に国勢調査が行われた。日本の人口は122,721,397人で,前回の1986年より2%しか増加していない。一方医師数は1992年には211,972人おり,10万対比171.3人である。医師は毎年ほぼ6000人ずつ増加しているらしいので,この5年間にはおよそ14%も増えていることになる。誰が考えてもこのまま推移すれば医師過剰時代が到来することは目に見えている。1985年に国立公衆衛生院は医学部定員を削減しない場合の医師数の推計を発表している。これによると1992年には10万対比193.5人になるはずであったが,実際には22人ほど抑制された状態になっている。
 ひるがえって,実際に医師数は人口比にしてどの程度が適正なのか定説はない。10万対比190人が限度という主張がある一方,230人までは必要との反論もある。医学教育を受けた日本の優秀な人材は医療に直接携わらなくとも,いろいろな職種での活躍の場はあるし,さらには国外へ雄飛して外国での医療活動に参加する道だって今後は必ず生じてくる。若い医学徒はこのような雑音に惑わされることなく,本分を忠実に実行することが選ばれたもののとる道と考える。

生体腎移植の陥し穴

著者: 東間紘

ページ範囲:P.36 - P.36

 17年前,慢性腎不全で透析中のA君にHLAidenticalの弟をdonorとして生体腎移植を行った。腎移植後の経過は順調で,0.5g/日以下の軽度蛋白尿はあるものの,現在血清クレアチニン1.2mg/dlと移植腎機能良好で元気に働いている。蛋白尿は移植後2年位に始まり腎生検の結果IgA腎症と確認されている。ところが2年程前からドナーである弟に突如として1日3gを越す蛋白尿が出現し,腎生検の結果すでに荒廃したIgA腎症末期の所見であった。抗凝固剤その他の治療にもかかわらず腎機能は低下を続け,ついに昨年末透析へ導入せざるを得なかった。A君の原疾患が何だったか不明だが,もしかしたら2人ともIgA腎症だったのかもしれない。また移植腎のIgA腎症の発生,進展という観点からは興味深いことではあるが,しかし何とも悲惨な結果になったものと頭を抱えている。たとえ提供前の検査でなんの異常も認めなかったとしても,長い年月の間にはこのような事も起こりうることを,とりわけドナーが若い人の場合,十分考慮して慎重でなければならない。やはり,できれば,移植は死体腎移植が望ましい。

STDは混合感染

著者: 熊澤淨一

ページ範囲:P.44 - P.44

 性感染症(sexually transmitted diseases:STD)の一つに尖形コンジロームがある。男性では陰茎の亀頭部や冠状溝に好発し,「このイボをとって下さい」と自己診断を下して受診する方が多い。
 ヒトパピローマウイルスの感染によるSTDであるが,治療法は相かわらず焼灼法が頻用されている。ポドフィリン(わが国では医薬品として認められていない),抗ウイルス軟膏剤の塗布を行っておられる病院も認められるし,研究的にインターフェロン局注が有用との報告もある。診断が容易であるのに治療法がまだ完全に確立されていない疾患の一つである。診断も女性は男性に比べるとやや困難であるが……。

いつものこと

著者: 山崎悦夫

ページ範囲:P.48 - P.48

 先入感や常識にとらわれてはいけません,と言う忠告は何度も繰り返されていることで,頭の中では十分承知しているつもりです。
 最近,経験したことですが,救急当番の内科医から,貧血の強い患者で,下腹部に大きなmassがある。卵巣腫瘍あるいはruptureと言ったことを考えているが超音波でみて貰いたいという依頼がありました。出かけてみますと,なるほど巨大なmassが下腹部正中にあり,卵巣腫瘍とそれに伴う腹水だろうなと思い,プローベを当ててみました。巨大な単房性の,壁は一様に平滑で,内容も完全に均一なmassでした。腹水は全くありません。場所からも様子からも卵巣でなく,膀胱ではないかと考えましたが,膀胱がこんなに大きくなるはずがないと思う気持ちと,完全に卵巣と考え,ぼくの確認が欲しいだけの様子の内科医たちの間では,場所からいえば膀胱でもいいようですけどと独り言の様にボソボソと言うのが精一杯でした。間もなく産婦人科医がきて内診をし,子宮の前方に柔らかなmassがある。まあ,バルーンをいれてみましょうと言うことになり,カテをいれてみると,やがて,バッグ二つも尿がでて,おなかは平らになってしまいました。

QOL雑感

著者: 工藤潔

ページ範囲:P.94 - P.94

 陰茎癌に対するQOLを追求することが徒となり,症例3の患者を失ったことは私にとって痛恨の極みでした。しかし,男性のシンボルである陰茎を切断することは患者にとり精神的に耐えられない苦痛でもあったでしょうし,QOLの向上を追求することも単純ではないことを痛感した次第です。
 近年,QOLやinformed consentなどの横文字を医学書のみでなく,新聞,週刊誌などでもしばしば眼にしますが,これは従来の医療側主導の医療を,欧米風に患者の主体性を尊重するものにしようとする意図のあらわれと思われ,大変結構なことです.しかし,かかる風潮がエスカレートすると病気を商取引するようで,味気ない気もします。

尿道鏡のすすめ

著者: 田利清信

ページ範囲:P.97 - P.97

 膀胱鏡のできない泌尿器科医はいないが,尿道鏡となると意外と盲点になるのではないか。医師になりたての頃,アルバイト先の先輩に,尿道鏡はあまり日常行われないので,少し行えば,学会発表のネタはすぐ見つかると言われて自己流に時々やっているが,現在の日常診療で,やらなければならない検査でもないので,あまり行われていない感じである。そこで,尿道鏡で診断した2例を紹介する。
 症例1 24歳,男性,無症候性血尿で受診,形のごとく,腎から膀胱まで検査するも何も出てこない。年2〜3回,同様の血尿があるが止血剤で止まり,出血部位不明のまま経過した。31歳になってやっと勃起後に血尿になることが多いと気づいた。この間,結婚して2児をもうけている。33歳になって,血塊で尿閉になり,力を入れると血塊が出て,その後尿は透明になったと言い,はじめて,尿道疾患を疑った。患者は,夫婦生活が恐ろしいと言うようになった。膀胱鏡で,膀胱内は正常,尿道鏡(パンエンドスコープ)で前立腺部尿道に血管拡張した腫瘍があり,入院,TURを行った。組織は血管腫でno malignancyであった。その後4年間血尿はないので,後部尿道血管腫が血尿の原因だったようだ。

生きた教科書

著者: 福井巌

ページ範囲:P.99 - P.99

 表在性膀胱癌に膀胱部分切除と組織内照射を行い,術後2ヵ月間にもおよぶ尿瘻で苦しませたのを皮切に,幾多の辛酸をなめさせた患者さんがいる。5年間に3度の再発はまだよしとしても,6年目,BPHに対するTUR-Pでは後出血のため膀胱高位切開。この際,癒着していた小腸を損傷し腸瘻。7年目,萎縮膀胱による無尿のため腎瘻造設。再び出血が止らず徹夜で腎盂洗浄。知人を集め新鮮血輸血。8年目,カルボコンの膀胱内注入でアナフィラキシーショック。以後10年余,再発こそないものの徐々に腎機能荒廃し,19年目,77歳の年齢で血液透析に導入。ざっと20年の治療歴を顧みるに「ドブに叩き落としては拾い上げている」との先輩の言に返すべき言葉もない。にもかかわらず,我が泌尿器科人生の大半にわたって辛抱強くお付きあい頂き,教科書からは学べない多くの教訓を賜ったことは感謝の念に堪えない。
 「患者は生きた教科書」とはよくいわれるが,患者の災が医師の肥しになるというのも皮肉にして哀しい話ではある。この患者さんは自戒の1例として一生忘れられない,大切な患者さんである。

20世紀の医療と21世紀の医療

著者: 片岡達治

ページ範囲:P.105 - P.105

 今世紀に入って急性,慢性を問わず,ほとんどの疾病において治療薬と治療法が開発されてきた。疾病間に治癒率,奏効率にかなりの差がみられるのは確かであるが,前世紀に比べて飛躍的な改善が得られたことに異論はない。しかし同時にすべての疾病の治療において共通する問題が生じてきた。それはresponderとnon—responderの区別の問題である。どんなに簡単な疾病でも,治療に際して目前の患者が確実にresponderとなる保証を私達はもっていない。この問題は副作用の強い治療法の場合には特に重要である。たとえ奏効率が90%に上っても,患者にとっては自分がresponderに入るか否かが問題なのである。今世紀の医療は奏効率を上げることに力を注いできたが,それは医者側からみての疾病の克服に何がしかの満足感を与えたが,患者側の要求とは隔たりがある。治療適応患者を正確に識別することが21世紀の医療に課せられた問題となろうか。

基本の大切さ

著者: 小野寺昭一

ページ範囲:P.124 - P.124

 血尿を主訴とした患者を前にした場合の膀胱鏡検査は,泌尿器科医にとって基本中の基本といえるが,種々の条件が重なるとこの基本を怠ることがあり,後に非常に恐い思いをすることがある。患者は50歳の男性,主訴は血尿であったが,その男性は当院の職員で,内科学教室の実験動物を管理するのが主な仕事であったため,内科に入院して血尿の精査を受けることになった。内科ではDIP,腹部のCT,ECHOなど施行し右腎下極の腫瘍と診断され,血管撮影まで行った後に手術を目的に,1992年3月泌尿器科に依頼された。診断が確定していたため,それ以上の泌尿器科的検査は行わず手術を施行。腫瘍は腎下極に限局したものであったため,腎部分切除にて摘出した。病理学的には,Grade2,T2の腎細胞癌であり,術後アドリアマイシン,ビンブラスチンによる化学療法を計5コース施行した。最初の1コースは入院中に,残り4コースは外来で施行したが,その間,顕微鏡的血尿は継続してみられ,時に肉眼的血尿も出現していた。血尿については気になってはいたものの,腎の部分切除術の後でもあり,化学療法を行いながら施行したCTやDIPで,腫瘍の残存や再発を疑わせる所見は全くみられなかったため経過観察に留めていた。同年8月,予定の化学療法が終了した時点で凝血塊を含む強血尿出現,膀胱鏡検査を施行,膀胱頸部に非乳頭状,広基性の膀胱腫瘍を認め,至急入院としTUR-BTを行った。

腎癌と漢方薬?

著者: 加藤幹雄

ページ範囲:P.129 - P.129

 腎癌例では妙な経過を取る場合がありますが,紹介するのもその1例でしょうか。45歳の男性で右の巨大な腎癌が肝へ直接浸潤し,門脈の処理が不可能なため腎摘とmass reductionをようやく行い,肺転移もあったため術後IFN—αを用いました。2か月でPRとなり計6か月治療をしました。ここまでは時に見られるケースですが,その後患者は時折外来に現われるだけとなり,治療終了後1年半の肺転移巣がさらに縮小しているのを見るまでは何の話も出ませんでした。その時に患者の口からIFNの治療の直前から薬用人参とサルノコシカケを購入,内服を続けていると聞かされました。腫瘍減衰曲線はきれいな二相性でなにやら漢方薬が作用しているようですが,いかんせん証明ができません。多剤BRM療法をやりたいのですが保険が許してくれません。漢方薬を買いなさいとも言えないのでどうしたものでしょうか。

Minimally invasive SurgeryとMaximally invasive Surgery

著者: 公文裕巳

ページ範囲:P.132 - P.132

 Minimally invasive surgeryの確立は,われわれ外科系医師の目指すべきひとつの方向性であることに間違いはない。ここ2,3年の腹腔鏡下泌尿器科手術のめざましい普及は,1980年代に経験したEndourologyに関する新しい機器と技術の洪水の頃を髣髴させるものである。しかし,minimally invasive surgeryのための急峻な学習曲線の過程では,合併症などのために逆にmaximally invasive surgeryへと進展してしまう症例がありうることも常に考えておかなくてはならない。
 7年前に経験した40歳の症例です。腎盂尿管移行部狭窄に回転異常とを伴う左腎結石症例であり,まず経皮的腎結石摘出術を行うこととしました。腎盂と各腎杯間の交通性が悪く砕石は困難で長時間を要し,かなり大量の腎外溢流も認めました。術後腎瘻よりの出血が持続したため,意図的に腎瘻を閉塞,一過性に腎タンポナーデの状態として止血しました。術後数時間後より血圧の低下あり,保存血輸血で対応していましたが,翌日,左腎摘出術を余儀なくされました。上極部に数mmの腎破裂痕を認めましたが,灌流液の溢流後の出血であり,後腹膜血腫は対側を含め膀胱前腔にまで及んでいました。2日目後,尿量が減少,血腫による右尿管の通過障害に伴う水腎症を認め,経皮的に腎瘻を造設しました。

尿失禁外来のスタッフ

著者: 曽根淳史

ページ範囲:P.155 - P.155

 当科の尿失禁外来では現在約80名の患者に対してCIC(清潔間欠導尿)の指導を行っています。患者の多くは最初に指導をするとき不安な表情を浮かべ自分で行うことに抵抗感を持っています。我々医師は忙しいこともあり,義務的に説明をしてしまうことが多いのですが,外来のスタッフは患者の不安をとるため,指導後に懇切丁寧に例を出して,時間をかけて大丈夫であることを説明してくれます。これらの診療をサポートしてくれるスタッフの存在はチーム医療には欠かせないものです。初診時,約90%の人が不安を感じていますが,2〜3ヵ月後にはほとんどの患者が順調に出来るようになり,不安はないと話しています。このような精神面でのケアーをバックアップしてくれるスタッフの存在は尿失禁外来には欠かせず,感謝しています。

成人の夜尿症は他科疾患に御注意

著者: 水尾敏之

ページ範囲:P.167 - P.167

 約10年前の経験です。22歳の男子学生が高校生の頃からの夜尿を主訴に来院しました。当院を受診するまでに大学病院も含む数施設の泌尿器科を受診していました。しかし夜尿は一向に直らないということで,心なしか顔付きがすぐれず,元気も無い様子でした。もとより成人の夜尿症は比較的稀な疾患ですので,その原因を探るために膀胱造影や膀胱内圧測定など痛みを伴う検査を進めなせればなりません。この患者にも一通りの検査をしましたが,異常をまったく認めませんでした。神経因性膀胱ではなく,いわゆる夜尿症と考えました。そこで夜間の水分摂取を控えさせ,三環系抗鬱剤の投与などを開始しました。しかしながら薬剤の種類や量を変えたりしましたが,夜尿症は全く良くなりませんでした。念のため行った脳のCTも正常でした。脳波検査を行ったところ,覚醒時は正常脳波でしたが,睡眠脳波で1度だけスパイクを認めました。てんかん発作による夜尿も否定できないので精神科を受診させましたが,再検した脳波所見は正常でした。患者はその後も夜尿が続くと訴えました。ある時"ところで濡れた下着は誰が洗濯するの"と訪ねたところ,"尿臭はするが朝には下着は乾いている"というではありませんか。変だなと思いながらも念のため,母親に夜尿の有無について確認したところ,夜尿の事実はないと言う返事でした。

Incidentalomaとしての褐色細胞腫

著者: 古川利有

ページ範囲:P.177 - P.177

 画像診断の進歩に伴って偶然に発見される副腎incidentalomaの報告が増加している。副腎incidentalomaとして褐色細胞腫はとりわけ頻度が高いようで過去10年間で我々が経験した褐色細胞腫は14例であるが,このうち6例の受診理由はいわゆる高血圧など直接褐色細胞腫を考えさせる自覚症状はなくCTや超音波検査などで偶然に診断されたものである。6例のうち3例は高血圧がみられ,血中カテコラミンも上昇していたが3例は高血圧がみられずカテコラミンの上昇もごく軽度であった。6例とも褐色細胞腫の診断または可能性を考えて手術を行い特に問題はなかったが正常血圧の3例を含め全例が腫瘍に対する手術操作で血圧が上昇し,腫瘍摘出後に血圧が低下する変動がみられた。
 10数年前,無症候性褐色副腎悪性腫瘍と診断し,褐色細胞腫としての準備をせずに腫瘍を摘出し急激な血圧低下を経験したことがある。褐色細胞腫では,典型的な症状を示さない症例もみられ,このような例でも術中の血圧変動は激しいことが多いことから副腎incidentalomaでは褐色細胞腫の可能性を念頭にいれておくべきと思われる。この症例は8年後に骨転移が出現し死亡している。

担当医のひとりごと

著者: 高波真佐治

ページ範囲:P.191 - P.191

 インポテンス患者の診療には,医師の忍耐力が必要で,おのずと限られた,適した性格の医師がその外来を担当することになる。
 本邦では,疾患自体がまだまだ恥ずかしく相談しにくい状況のため,患者本人から病状を詳細に聞き出すのには根気と時間が必要で,忙しい日常診療からその時間を割く努力が必要である。

泌尿器科今昔

著者: 伊藤晴夫

ページ範囲:P.197 - P.197

 当院の看護部長から,看護婦の配置換えの時にアンケートを取ったら泌尿器科病棟を希望する者が多かったので,びっくりするとともに安心したとの話を聞いた。びっくりするとは失礼千万である。しかし,私が泌尿器科へ入局した時に,ある看護婦さんがつくづくと私の顔をみつめならが,どうして泌尿器科にしたのかと聞いたことを思い出した。先輩の話によれば,花柳病科と称したこともあった由。泌尿器科もずいぶん様変わりしたものである。

"腎疝痛"について

著者: 戸塚一彦

ページ範囲:P.203 - P.203

 腸管などの管腔臓器が閉塞されると平滑筋の攣縮により間歇的に強い痛みが起こる。これが疝痛で,管腔臓器の伸展による持続的な痛みとは区別される。"腎疝痛"は腎盂尿管の蠕動亢進による疝痛と腎被膜の伸展による持続的な強い痛みから成るといわれてきた。しかし,"腎疝痛"が間歇的な痛みであることはむしろ例外的であり,また,鎮痙剤の投与もしばしば無効であることから,本来の疝痛とは異なる痛みであると考えられる。"腎疝痛"と呼ばれる持続的な激痛は通常4時間以内に自然に消退するが,これは尿管に嵌頓した結石の周囲を尿が流れ出す時期に一致しているのであろう。

波乗り

著者: 竹内秀雄

ページ範囲:P.215 - P.215

 京都北部の由良海岸にときどきサーフィンに興ずる若者を見る。うまく波に乗ることができればよいが乗れなければ溺れそうになる。泌尿器科の診療にも小さな波や大きな波が次々に押し寄せてきている。波を感じたのは年のせいだろうか,10年程度前である。QOLとMISが叫び始められた頃である。回腸導管が当り前に思われていたところ蓄尿型のKOCKが出現,さっそくこれを取り入れ,手術時間が長く膀胱全摘と合わせ10時間ほどかかった。元々泌尿器科も外科手術をやりたくて選んだもので,比較的楽にクリアできた。時間の長い手術は多数のメンバーが参加でき,歓迎された。波は大きくとも乗りやすい波であった。同じ頃,結石治療の大きな変化が出てきた。PNL,TUL,ESWLである。ESWLは機械が高価で手に入れることができなければこれをパスした。機械だけで,医者の技術を生かすものでないとおもしろくもなんともない。患者にとっては腰部の大きな切開手術の恐怖より開放され大歓迎であった。TUL,PNLはまだ比較的安価で,これを購入せざるをえず,手技を磨きなんとかこれをクリアした。好むと好まざるにかかわらずせざるを得ないという大きな波であった。ところが次にまたまた波がきた。腹腔鏡下手術である。もう溺れそうである。若い人はテレビゲームの経験があるのかモニターを見ながら手もとの操作を簡単に行う。

ウロとパンツとPTA

著者: 黒田俊

ページ範囲:P.225 - P.225

 私は平成3年度より小学校のPTA会長を引き受けています。PTAへのアレルギー反応のために,最初はひどく戸惑いました。子持ちの看護婦には「先生,PTAにゆく時は,パンツ変えていった方が良いわょ。良いことあるかも。」などと,冷やかされ,情けないことに少し期待したりして…。
 しかし,しばらくたつと,そういう戸惑いは薄れ,むしろ学ぶことが多いように思えてきました。様々な職業をもつPTA会長の集まりでは14人中医師は私だけでした。そのために,医療関係以外の人々と理解し合う必要が生じて,その経験が日常診療に幅を与えているような気がします。また,人前で挨拶する機会が多いので,話術のようなものが身に付きました。つまり,挨拶は自分の得意な分野,私なら泌尿器科診療の話を中心として構成した方が,周囲へのうけも良く落ちついて話が出来るのです。しかし,初等教育の方向性,PTAそのものの存在意義など,解決出来ない問題が山積しているのも事実です。パンツには縁のある泌尿器ですが,残念ながら,パンツを変える甘美な出来事もなく,まもなく任期が終わろうとしています。私のような閉鎖社会に生きる人間には,目からうろこが落ちるような未知なる体験でありました。

ICU症候群とは?

著者: 宮岡等

ページ範囲:P.233 - P.233

 ある時,外科の先生から「手術後,ICU(inten-sive Care Unit)に収容されている中年の男性患者が,術後5日目位から天井の1点を見つめたまましゃべらなくなったので診察してほしい」との依頼があった。
 診察後。外科医:「ICU症候群と考えていい?」,精神科医:「先生のICU症候群の定義は?」,外:「ICUで何か変な精神症状が出ること?」,精:「じゃあICU症候群そのものかな。でもICU症候群と診断したからと言ってどうなるの?」,外:「診断がつくと安心だし,ICUから出たら良くなると予想できるでしょう」 ICU収容患者ではせん妄,妄想,無動無言状態など様々な精神症状がみられ,ICU症候群という言葉はICUで何らかの精神症状を出した場合,あまり厳密な定義なしに用いられることが多い。

昨日の患者

頻尿・暖房・焼肉

著者: 会田靖夫

ページ範囲:P.58 - P.58

 前立腺肥大症のI期は刺激症状としての夜間頻尿が代表的症状であるとたいていの教科書に書いてある。しかし触診やUSで肥大を認めず,尿流量曲線も正常で残尿もほとんどない患者がいる。こうした患者は本人が自覚しているかどうかは別としても「冷え症」であることが多い。多くは夏軽快し,冬増悪する。入浴して体が温まった夜は良いようである。
 漢方では「腎虚」という概念がある。手足が冷える,足腰が痛む,足腰の脱力感,視力低下,陰萎,夜間頻尿,などを呈する状態である。「腎虚」にたいして昔から八味地黄丸という処方が良く用いられ有名であるが,胃腸の弱い人には使いにくい。

生検でみつけた前立腺癌

著者: 小磯謙吉

ページ範囲:P.63 - P.63

 58歳男性。1〜2年来の排尿障害のため来院。前立腺の触診所見は弾性軟で,結節なく中心溝もあり。画像診断でも前立腺肥大症の所見であった。血清の前立腺癌腫瘍マーカーはすべて正常を示した。
 そこで前立腺肥大症の治療として酢酸クロロマジノン100mg/日を投与したところ排尿障害は次第に軽減した。しかし,2ヵ月投与後,突然血尿が出現した。内視鏡的には膀胱頸部(7°)の出血が認められた。腰麻下,止血点を電気焼灼したが,その折,念のため経尿道的に前立腺の一部を生検した。生検結果はductal adenocarcinoma of theprostateであった。この種の癌は生検以外に診断方法が少なく,markerも低値のことが多い。酢酸クロロマジノンは前立腺癌にも有効であるので治療には問題は少なかったと考えるが,前立腺肥大症と癌との鑑別には心してかかるべきであることを痛感した。

老人の「性」

著者: 大川光央

ページ範囲:P.135 - P.135

 我が国は,いまや高齢化社会に突入し,今後ますます人口の高齢化率の上昇は著しくなるものと予想されている。これら高齢者に如何に生き甲斐を持たせ,生活の質(Quality of Life)を向上させていくかについて,医療の面からも問われる時期にきている。
 泌尿器科医は,高齢患者を診察,治療する機会が多いことから,老人泌尿器科研究会なども開催されるようになった。高齢化社会の医学的三大課題といわれるものに,「痴呆」,「失禁」および「転倒」があげられているが,これらのうち泌尿器科医にとって最大の関心事は,当然のことながら尿失禁ということになる。尿失禁以外にも泌尿器科医が関心を示すべきこととして老人の「性」の問題があげられよう。健康で長生きできるようになれば,性機能も正常に保ちたいと思うのが自然であろうが,我が国ではあまり問題視されることはなかった。私自身,米国留学中,penile prothesis,移植手術件数の多さに驚くとともに,70歳台の老人が手術台の上から「うまくやってくれよ!」と叫んでいるのを見て,文化の違いのようなものを感じたのも事実である。

慢性の膀胱炎と尿培養

著者: 坂義人

ページ範囲:P.146 - P.146

 44歳の生真面目そうな婦人,約5ヵ月前に頻尿,排尿痛が出現したために近くの開業医を受診。尿検査等により膀胱炎の診断を受けて抗菌薬を3日間服用。3日目までに症状が消失したので喜んで前医を再診したところ,念のためさらに4日間の抗菌薬服用を勧められ,同時に尿が無菌であることを確認するため尿の培養検査が行われた。4日後培養結果を聞きに受診したところ,尿培養が陽性であるのでさらに服薬の必要ありといわれ服薬を継続した。その後も症状はまったく無かったが,1〜2週間に1回の割合で行われる尿培養検査で,しばしば陽性の結果であったので服薬が継続された。そうこうしている間に5ヵ月が経過し,ついに近医から慢性の膀胱炎で終生治らない旨の宣告を受けた。
 患者は大変心配して大学病院を受診。今までの経過を問診したところ,採尿はいつもコップに自分で採取しているということなので,当科ではカテーテルで膀胱尿を採取して検査した。鏡検の結果,赤血球も白血球も細菌もみられず尿は全く正常であった。症状もないため尿培養検査を依頼し,1週間服薬を中止した後,再度尿検査をすることとした。1週間後の検査でもやはり鏡検所見に異常なく,尿培養検査も陰性であっった。その後にもう一度検尿,尿培養検査および膀胱鏡検査をしたが異常なく,患者は大変安心して安堵の色をかくさなかった。

患者気質と与薬

著者: 高木隆治

ページ範囲:P.152 - P.152

 最近の社会情勢の変化はめまぐるしいものがある。それに伴い医療情勢をとりかこむ環境も急変している。医療費,インフォームドコンセント,エイズ,MRSA,薬の副作用,病院の倒産,etc。マスコミは連日のように報道する。国,病院はすぐ反応する。現場の医師は好むと好まざるとにかかわらず何らかの対処をせざるを得ない。薬剤の服用に関しても同様である。患者にはあらかじめ,できるだけ与薬の目的と内容を説明するようにしている。しかし,外来診療の中で,短時間に副作用のことまで説明するのは不可能に近い。特に新患の場合,医師と患者との間に信頼関係が成立しているとは言えないし,我々にとっても患者の理解力の程度が全くわからない。いずれにしても与薬に対する患者の反応が多様になっている。
 1)処方された薬をそのまま服用してくれる患者 2)同じ薬を継続していないと気がすまない患者 3)与薬時,薬の変更などのとき,必ず質問してくる患者 4)定期受診はするが,たとえ異常所見があっても服薬したがらない人 5)服用薬はするが短期間で中止したいと思っている人,などである。医師にとって1)と2)の患者は気が楽で,従来はこの種の患者が多かった。最近は3)〜5)の患者がふえているようである。1日50〜70人の外来患者をみていると,ついめんどうくさくなるが,それではいけないと自戒して説明する。

基本情報

臨床泌尿器科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1332

印刷版ISSN 0385-2393

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