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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科47巻4号

1993年03月発行

Coffee Break

いつものこと

著者: 山崎悦夫

ページ範囲:P.48 - P.48

文献概要

 先入感や常識にとらわれてはいけません,と言う忠告は何度も繰り返されていることで,頭の中では十分承知しているつもりです。
 最近,経験したことですが,救急当番の内科医から,貧血の強い患者で,下腹部に大きなmassがある。卵巣腫瘍あるいはruptureと言ったことを考えているが超音波でみて貰いたいという依頼がありました。出かけてみますと,なるほど巨大なmassが下腹部正中にあり,卵巣腫瘍とそれに伴う腹水だろうなと思い,プローベを当ててみました。巨大な単房性の,壁は一様に平滑で,内容も完全に均一なmassでした。腹水は全くありません。場所からも様子からも卵巣でなく,膀胱ではないかと考えましたが,膀胱がこんなに大きくなるはずがないと思う気持ちと,完全に卵巣と考え,ぼくの確認が欲しいだけの様子の内科医たちの間では,場所からいえば膀胱でもいいようですけどと独り言の様にボソボソと言うのが精一杯でした。間もなく産婦人科医がきて内診をし,子宮の前方に柔らかなmassがある。まあ,バルーンをいれてみましょうと言うことになり,カテをいれてみると,やがて,バッグ二つも尿がでて,おなかは平らになってしまいました。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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