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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科47巻4号

1993年03月発行

文献概要

昨日の患者

生検でみつけた前立腺癌

著者: 小磯謙吉

所属機関:

ページ範囲:P.63 - P.63

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 58歳男性。1〜2年来の排尿障害のため来院。前立腺の触診所見は弾性軟で,結節なく中心溝もあり。画像診断でも前立腺肥大症の所見であった。血清の前立腺癌腫瘍マーカーはすべて正常を示した。
 そこで前立腺肥大症の治療として酢酸クロロマジノン100mg/日を投与したところ排尿障害は次第に軽減した。しかし,2ヵ月投与後,突然血尿が出現した。内視鏡的には膀胱頸部(7°)の出血が認められた。腰麻下,止血点を電気焼灼したが,その折,念のため経尿道的に前立腺の一部を生検した。生検結果はductal adenocarcinoma of theprostateであった。この種の癌は生検以外に診断方法が少なく,markerも低値のことが多い。酢酸クロロマジノンは前立腺癌にも有効であるので治療には問題は少なかったと考えるが,前立腺肥大症と癌との鑑別には心してかかるべきであることを痛感した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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