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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科47巻4号

1993年03月発行

Coffee Break

Incidentalomaとしての褐色細胞腫

著者: 古川利有

ページ範囲:P.177 - P.177

文献概要

 画像診断の進歩に伴って偶然に発見される副腎incidentalomaの報告が増加している。副腎incidentalomaとして褐色細胞腫はとりわけ頻度が高いようで過去10年間で我々が経験した褐色細胞腫は14例であるが,このうち6例の受診理由はいわゆる高血圧など直接褐色細胞腫を考えさせる自覚症状はなくCTや超音波検査などで偶然に診断されたものである。6例のうち3例は高血圧がみられ,血中カテコラミンも上昇していたが3例は高血圧がみられずカテコラミンの上昇もごく軽度であった。6例とも褐色細胞腫の診断または可能性を考えて手術を行い特に問題はなかったが正常血圧の3例を含め全例が腫瘍に対する手術操作で血圧が上昇し,腫瘍摘出後に血圧が低下する変動がみられた。
 10数年前,無症候性褐色副腎悪性腫瘍と診断し,褐色細胞腫としての準備をせずに腫瘍を摘出し急激な血圧低下を経験したことがある。褐色細胞腫では,典型的な症状を示さない症例もみられ,このような例でも術中の血圧変動は激しいことが多いことから副腎incidentalomaでは褐色細胞腫の可能性を念頭にいれておくべきと思われる。この症例は8年後に骨転移が出現し死亡している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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