臨床泌尿器科47巻7号

1993年06月発行

症例

膀胱腫瘍と紛らわしかった恥骨の骨軟骨腫

著者： 塚本定¹ 石川悟¹ 野口良輔¹ 高橋敦² 伴慎一² 鶴田敦³

所属機関： ¹日立製作所日立総合病院泌尿器科 ²日立製作所日立総合病院病理科 ³日立製作所水戸総合病院泌尿器科

ページ範囲：P.507 - P.509

文献概要

　42歳，女性。頻尿を主訴に受診，顕微鏡的血尿を認めたため精査した。CTスキャンおよび超音波断層撮影で膀胱前壁を圧排する表面平滑な腫瘤陰影を認めた。膀胱鏡検査では前壁に腫瘤状の突出があったが粘膜に異常はなかった。膀胱粘膜下腫瘍を疑い下腹部横切開で腫瘍切除術を行った。腫瘍は恥骨結節後面より発生し，硬く表面平滑で膀胱壁を圧排していたが，癒着はなかった。病理診断は骨軟骨腫であり，恥骨原発のものとしてはまれと思われた。若干の文献的考察を加えた。