icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科47巻9号

1993年08月発行

文献概要

特集 インポテンス—最近の治療法

8.勃起障害に対する精神面からの治療—ノン・エレクト法を中心にして

著者: 阿部輝夫1

所属機関: 1順天堂大学浦安病院精神科

ページ範囲:P.667 - P.672

文献購入ページに移動
はじめに
 "インポテンス"の定義は諸家によって異なり,混乱がみられている。すなわち,インポテンスの概念に"勃起障害"の他に性欲低下や腟内射精困難,早漏などを含むべきかどうかの議論が続いていた。そもそもドイツ語のImpotenzも英語のimpotenceもpotenz, potency,つまり"能力,活力,精力,強さ,生殖力"の否定形としてつかわれている。また,Frigiditätやfrigidityが示す冷感症・不感症も"冷酷"とか"無情"の意を含んでいる。このように男性にとっても女性にとっても侮蔑的な差別用語は好ましくないとする風潮が20年ほど前からアメリカに生れ始めた。そして1980年のDSM-Ⅲ(アメリカ精神医学協会編の精神科疾患分類)ではimpotenceとfrigidityの用語は消え,1987のDSM-Ⅲ-R1)に引きつがれ,1992のICD-102)でもこれらの用語は痕跡的となっている。DSM-Ⅲ-RやICD−10のように最近の診断分類の基礎になっている考え方は,性機能不全を性の三相概念3)に沿って①性欲の障害,②性的興奮の障害,③オルガスムの障害の3つに明確に分類し,男性の場合,性欲低下症,勃起障害,腟内射精困難,早漏の4つに大別している(表1)。したがって,"インポテンス"という曖昧な用語は今後避けるべきだろうと考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら