臨床泌尿器科48巻13号

1994年12月発行

小さな工夫

経尿道的尿管引き抜き術

著者： 坂本泰樹¹ 松本哲朗²

所属機関： ¹JR九州病院泌尿器科 ²九州大学医学部附属病院泌尿器科

ページ範囲：P.1080 - P.1080

文献概要

　最近，low gradeでlow stageの腎盂腫瘍や上部尿管腫瘍に対して腎摘出後，経尿道的尿管引き抜き術の施行が報告されている^1）。すでに，本邦においてもいくつかの報告がある^2,3）が，以下の二点の筆者らの小さな工夫について述べたい。まずは，砕石位にて尿管カテーテル挿入後にその周囲の粘膜に電気凝固を加えると記載したものが多いが，カテーテル挿入前に尿管口をone biteまたはtwo bites切除してしまうほうが簡便である。ただし，筆者らの経験では5例中1例のみ切除後に尿管カテーテルの挿入が困難であった。そこで，第二の工夫だが必ずしも逆行性のカテーテルの挿入にこだわらず，腎摘後に尿管断端より順行性にカテーテルを挿入すればよい。もちろん，この方法は最初から尿管口の不明の場合にも応用できる。すでに述べられているように，尿管カテーテルは硬めのものを用い，尿管周囲の剥離はむしろしないほうがよい，などの点に気をつければ意外と安全かつ容易な手術法である。以上，最近施行されてきている経尿道的尿管引き抜き術のコツについて報告した。