文献詳細
増刊号特集 小児泌尿器科診療
治療の実際
文献概要
陰核形成術の適応が認められる症例のほとんどは小児科経由でやってくる。というのも,生直後に外陰部異常が認められると,まず新生児科あるいは一般小児科に相談が入り,次いでわれわれ外科サイドに紹介がされるのが現状だからである。したがって,周産期センター・母子センター・小児センターなどに勤務していない限り,一般泌尿器科医が生直後より患者に関与することはないと言って過言ではない。しかし,稀ではあるが,外陰部の状態によっては染色体・内性器とは無関係に患児の性を女性にせざるを得ないこともあるし,産科・小児科(新生児科)で誤った性の決定がなされたまま『高度女性仮性半陰陽』『男性仮性半陰陽」「高度尿道下裂』などとして紹介されることもあり,われわれのところで性の変更をすることもある。このような時には,紹介元の医師と密接なコンタクトをとりながら,単に医学的立場からというのではなく,患児・家族の精神面・社会的側面を十分に配慮しながらの対応が要求される。そのうえ,術後のフォローやカウンセリングにも気を配らねばならない。基礎疾患によっては性腺が高率に悪性化することもあり,手術時期を考慮しながら性腺摘出術を行うこともある。陰核形成にあずかるわれわれ外科医は,単に陰核形成の手技を習得するだけではなく,陰核形成を行わねばならないような各種疾患に対しての十分な知識とともに,患児・家族の精神面に配慮した対応も要求されている。
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