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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科48巻9号

1994年08月発行

交見室

膀胱コンプライアンスの計算方法をめぐる問題/精巣上体平滑筋腫の精巣摘除

著者: 斉藤政彦1

所属機関: 1名古屋大学泌尿器科

ページ範囲:P.710 - P.711

文献概要

 膀胱コンプライアンスは膀胱機能の指標として近年繁用されている。その計算方法はInternationalContinence Society(ICS)の用語委員会の報告によれば最大膀胱容量をその時の内圧で除した値(ml/cmH2O)と定義されている。この計算方法は,すでに世界的に合意はなされているものと考え,私自身もこれにしたがって計算していた。ところが私が留学していた米国ペンシルベニア大学では膀胱コンプライアンスを,この逆数すなわち膀胱内圧/膀胱容量(cmH2O/ml)で算出していた。この計算方法の差は単に数値の大小や単位の問題だけにとどまらない。分母と分子が逆の場合には数字の特性が異なってくるため.結果や結論にも影響を及ぼす重大な問題である。いずれの計算方法が正しいか研究室の同僚らと議論し,また自分自身納得すべく,ペン大の図書館でコンプライアンスについて調べてみた。
 本来,コンプライアンスとは物体の柔らかさを表現する物理学的用語であり,"elasticity per unitload"すなわち"単位負荷あたりの柔軟性"と定義されている。この概念を最初に医学分野に応用したのは呼吸器である。その結果,医学事典,生理学の教科書には肺,または胸郭のコンプライアンスについて記載されており,計算方法は容量/内圧(ΔV/ΔP)と定義されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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