文献詳細
文献概要
セミナー 臨床医のための分子生物学—期待される臨床医学への応用・序
分子生物学とヒト遺伝子研究
著者: 清水信義1
所属機関: 1慶應義塾大学・分子生物学
ページ範囲:P.43 - P.47
文献購入ページに移動WatsonとCrickがあの美しいDNAの二重ラセン構造モデルを提唱したのは1953年であったから筆者が中学生になったばかりのことである。それから数年後,教養課程の学生の頃これら2人の天才分子生物学者にノーベル賞が与えられたことを知った時,物理・化学の技術と方法論を駆使して生物の最も根元的な遺伝子DNAの構造と複製の原理が解明されたと強く感動したことが懐かしく思い出される。その後,筆者の学部・大学院・ポスドク時代を通して,まさに生命現象の分子的な素課程に関して輝かしい発見が次々となされた。今日ヒトゲノム遺伝子の全解明を目指す研究者の一人として国際協力と競争の嵐のまっただ中に身を置くことになってしまったが,60年代以降の30年余りの分子生物学の歴史を思い起こすことによって,昨今のヒト遺伝子研究への潮流を概観してみたい。
掲載誌情報