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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科49巻12号

1995年11月発行

特集 泌尿器科領域での救急医療—病態と治療

急性陰嚢症

著者: 橋本博1

所属機関: 1旭川医科大学泌尿器科学教室

ページ範囲:P.923 - P.927

文献概要

はじめに
 急性陰嚢症とは,陰嚢部に急性の疼痛や腫脹を来す疾患群の総称で,急性腹症と同様,「緊急手術の必要な病態を含む」という意味で私達臨床家にある種の緊張感を与える言葉である。急性の疼痛が生ずる病態としては,一般的に炎症と虚血が考えられるが,陰嚢内臓器においても例外ではなく,炎症性疾患である精巣上体炎,精巣炎,虚血性疾患である精巣捻転症,精巣付属器捻転症がこれに含まれる主な疾患である。これらの疾患は,緊急の手術によらなければ精巣が壊死に陥る可能性のあるものと,通常は抗生剤などの投与で保存的に経過を見るものとに大別することができる。前者は言うまでもなく精巣捻転症であり,ほかの三疾患は後者に属する。この意味で急性陰嚢症の鑑別は精巣捻転症か否かという点が最も重要であり,他の点はさほど重要ではないと言っても過言ではない。
 本稿では精巣捻転症と他の疾患の鑑別という点に最も留意しつつ,まず急性陰嚢症各疾患の病態を述べ,次に種々の診断法を説明し,最後に治療上のいくつかの問題点を取りあげて行くことにする。種々の診断法については表1にまとめて示した(ただし精巣炎については除いた)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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