文献詳細
特集 新しい抗生物質と感染症
文献概要
はじめに
本邦におけるMRSA感染症は,第3世代セフェム薬が頻用された時期に一致して増加してきた。しかし,第3世代セフェム薬により普通の黄色ブドウ球菌がMRSAに変化したのではなく,多剤耐性菌であるMRSAを選択したため感染症が増加したのである。欧米では第3世代セフェム薬に関係なくMRSAは問題となってきたごとく,MRSAに対して抗菌力を持たない薬剤の乱用であれば結果は同じであったと想定される。また,抗菌薬の使用量に一致して耐性菌は増加するものであり,なによりも薬剤の使用量すなわち使用期間が問題であったと考えてよい。現在ではアルベカシンやバンコマイシンの登場によりMRSA感染症は治療可能であり,MRSA感染対策も通常の院内感染対策の徹底により達成されるものであるが,抗菌薬の使用法については特に使用期間が長くならないように注意しなければならない。MRSA対策については院内感染対策が重要であり多くの指針が示されているが,ここでは院内感染対策における問題点および抗菌薬の使用法,特に術後感染予防についての問題点を述べる。
本邦におけるMRSA感染症は,第3世代セフェム薬が頻用された時期に一致して増加してきた。しかし,第3世代セフェム薬により普通の黄色ブドウ球菌がMRSAに変化したのではなく,多剤耐性菌であるMRSAを選択したため感染症が増加したのである。欧米では第3世代セフェム薬に関係なくMRSAは問題となってきたごとく,MRSAに対して抗菌力を持たない薬剤の乱用であれば結果は同じであったと想定される。また,抗菌薬の使用量に一致して耐性菌は増加するものであり,なによりも薬剤の使用量すなわち使用期間が問題であったと考えてよい。現在ではアルベカシンやバンコマイシンの登場によりMRSA感染症は治療可能であり,MRSA感染対策も通常の院内感染対策の徹底により達成されるものであるが,抗菌薬の使用法については特に使用期間が長くならないように注意しなければならない。MRSA対策については院内感染対策が重要であり多くの指針が示されているが,ここでは院内感染対策における問題点および抗菌薬の使用法,特に術後感染予防についての問題点を述べる。
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