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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科49巻6号

1995年05月発行

セミナー 臨床医のための分子生物学—期待される臨床医学への応用・3

DNAの多型現象と遺伝子の個人差

著者: 清水信義1

所属機関: 1慶應義塾大学・分子生物学

ページ範囲:P.387 - P.394

文献概要

はじめに
 生物のゲノムのサイズすなわちハプロイド(一倍体)当りのDNA量はその生物の高等さ(複雑さ)とほぼ相関している。高等な生物ほど多量のDNAから構成されているが例外はある。例えばトウモロコシやタマネギはそれぞれ50億塩基対および150億塩基対のDNAを含んでおり.ヒトの30億塩基対をはるかに越えている。植物は動物と違って一般にDNA量が多いのも事実である。
 一方,ゲノムのDNAすべてが蛋白質を作り出すためのコーディングシーケンスを含んでいるわけではなく,きわめて多量のノンコーディングシーケンス(非コード領域)を含んでいる。いわゆる反復配列もゲノムDNAの大部分を占めている。原核生物のゲノムは真核生物に比べて小さく,ノンコーディングシーケンスや反復配列をほとんど含まないほど単純である。このような生物の多様性がどのようにして生まれてきたかという進化のメカニズムが,最近次第に明らかになりつつある。さらにヒトに関して,人種や個人でDNAの塩基配列が違うことがあるというDNAレベルの多型現象(polymorphism)が認識されるようになっている。本稿では,生物がゲノムサイズを増大して多様性を獲得したメカニズムを染色体と遺伝子のレベルで考察し,DNAの多型現象と遺伝子の個人差について解説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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