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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科50巻13号

1996年12月発行

症例

ヒト絨毛性ゴナドトロピン産生膀胱癌の1例

著者: 町野倫太郎1 三橋公美1 鈴木信1 飛岡弘敏2 服部淳夫2

所属機関: 1札幌社会保険総合病院泌尿器科 2札幌社会保険総合病院病理

ページ範囲:P.1061 - P.1064

文献概要

 患者は39歳,女性。主訴は肉眼的血尿で,8年前に膣絨毛癌の既往があった。膀胱鏡にて左側壁に腫瘍を認め,血清HCG291mIU/ml,血清β-HCG4.2ng/mlと高値であった。経尿道的腫瘍生検にてTCC>SCC,G3を認め,免疫組織化学染色にてHCG陽性の腫瘍細胞が認められた。遠隔転移は認められず,1996年3月14日に前方骨盤内臓器全摘術およびマインツパウチ造設術を施行した。病理組織はTCC>SCC,G3,pT3b,pN0で,膣および子宮に腫瘍性病変を認めなかった。術後化学療法としてMVAC療法3コース施行した。治療の過程とともに血清HCGおよびβ-HCGは低下したが正常域までには至らず,その後強化MEC療法を施行中である。本症例は本邦16例目のヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)産生膀胱癌であり,膣絨毛癌再発との鑑別には免疫組織化学染色が,治療効果の判定には血清HCGおよびβ-HCG測定が有用であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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