文献詳細
画像診断
奇形腫と尿管結石の合併による特異な骨盤内石灰化像
著者: 鈴木康之1 大石幸彦2 吉田孝雄3
所属機関: 1星総合病院泌尿器科 2東京慈恵会医科大学泌尿器科 3星総合病院産婦人科
ページ範囲:P.253 - P.255
文献概要
主訴 左側腹部痛。
既往歴 特記すべきことなし。
現病歴 1995年6月中旬より間歇的な左側腹部の鈍痛を自覚するようになった。近医で受診したところ,骨盤内の石灰化と尿潜血陽性を指摘され尿管結石の疑いにて同年6月28日当科で受診した。
受診時に自覚症状はなく,腹部触診上も圧痛等の異常所見はみられず,聴診でも腸雑音は正常であった。検尿では,蛋白,尿糖,ケトン,ビリルビンともに陰性であったが,尿潜血陽性,尿沈渣で赤血球10〜19/強視野,白血球1〜4/強視野であった。初診時のKUB(図1)を示す。膀胱鏡では,膀胱内に異常を認めなかった。
経過 骨盤内石灰化精査のため施行された排泄性尿路造影検査(図2,図3)ならびに骨盤CT(図4)を示す。これにて2個の左尿管結石ならびに卵巣奇形腫と診断し,1995年8月30日に左卵巣摘出術ならびに左尿管切石術を施行した。摘出した嚢胞性奇形腫(図5)と尿管結石(図6)を示す。結石は,蔭酸カリウム89%リン酸カルシウム11%であった。
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