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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科50巻4号

1996年03月発行

増刊号特集 前立腺疾患'96

前立腺とその周辺領域の局所解剖

著者: 木原和徳1 佐藤健次2

所属機関: 1東京医科歯科大学泌尿器科 2東京医科歯科大学保健衛生学科

ページ範囲:P.10 - P.19

文献概要

前立腺の発生と解剖
 前立腺は精液の一部を産生分泌する生殖のための臓器であり,正常では蓄排尿への関与はほとんどないと考えられる。胎生10週頃にテストステロン(T)の働きで尿生殖洞より発生し,思春期以降に急激に増大して成人レベル(平均20g:思春期以前は10g以下)に達する。Tが間質細胞に働き,間質細胞が尿生殖洞上皮を前立腺上皮へと誘導すると考えられる1)。まず上皮が周囲間質に向かって侵入し,腺管を形成しつつ末梢へ分枝していく一方,周囲の間葉組織が平滑筋線維と間質とに分化していき前立腺が形成される(図1)。間葉組織は辺縁では緻密化して前立腺被膜を形成する。完成された前立腺では重量の約70%が上皮性(腺性),残りが非上皮性(線維筋性)成分である。胎児および新生児では図1のように精丘付近に腺管群が開口している2)。これより前葉,左右の側葉,中葉,後葉の各腺葉ができ,さらに後に癒合して1個の前立腺になるとの考えから解剖学的にはこの5葉に分けられる。これらの腺管群は長い導管を持ち,その腺房は尿道より遠くにあるため外腺と呼ばれ,一方尿道の粘膜下に短い導管を持った腺管群があり,これは内腺(尿道周囲腺)と呼ばれ精丘より近位の尿道に開口している。前立腺癌は外腺に発生し,肥大症は内腺より発生する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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