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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科50巻4号

1996年03月発行

増刊号特集 前立腺疾患'96

前立腺肥大症

前立腺肥大症は増加しているか

著者: 塚本泰司1 舛森直哉1

所属機関: 1札幌医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.34 - P.37

文献概要

前立腺肥大症は増加しているか?
 前立腺肥大症が加齢に伴う疾患であることを考えると,高齢者人口の増加が著しい本邦における前立腺肥大症の増加は想像に難くない。しかし,高齢者人口の増加率に比べ前立腺肥大症の増加率のほうがはるかに高いことも指摘されている1)。この理由の第一として,前立腺疾患に対する社会の一層の認識が挙げられる。すなわち,以前は排尿困難が存在しても,種々の理由で医療機関への受診をためらっていた高年齢者が,最近では社会的な啓蒙に触発され積極的に受診していると考えられる。第二に前立腺肥大症に対する有効な治療法,すなわち経尿道的前立腺摘除術の普及や交感神経アルファ-1受容体遮断薬および抗男性ホルモン剤,などの登場が挙げられる。これらの内科的治療法により泌尿器科医のみならず内科医を中心とする非泌尿器科医も比較的手軽(?)に治療を行えるようになった。また,このような医療サイドの変化はある程度一般社会にも反映され,患者の受診をさらに促していると考えられる。以上のように,社会サイドと医療サイドの双方の変化が前立腺肥大症患者の増加に寄与していると推測される。
 このように"いわゆる前立腺肥大症"の患者数は明らかに増加している。しかし,"疾患としての前立腺肥大症"の有病率が増加しているのかを議論するとなると状況は混沌とする。次の項で述べるように未解決の大きな問題が残されているからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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