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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科50巻4号

1996年03月発行

文献概要

増刊号特集 前立腺疾患'96 前立腺肥大症 治療法の選択と実際・薬物治療

植物製剤・漢方製剤

著者: 朴英哲1

所属機関: 1近畿大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.83 - P.86

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はじめに
 ここでは植物製剤としてエビプロスタットを,漢方製剤として八味地黄丸を紹介する。これらの薬剤は前立腺肥大症という疾患に対する認識のない時代から,民間伝承で現在まで使用され続けてきたという歴史を持つ。時代の淘汰をかいくぐって生き残ってきた事実は,それだけでもこれら薬剤の臨床的有用性を物語ってはいるものの,その効果に関する実証的研究は少ない。そこで,ここではこれら製剤の配合成分や薬理作用を紹介するとともに,その適応や効果に関してできるだけ客観的事実に基づいた解析を試みたい。
 前立腺肥大症という概念は,病理形態学的にはその名の示すごとく前立腺内腺の良性腺腫であるが,臨床的にはいささか異なった意味を持つ。われわれ泌尿器科医は小さな前立腺がしばしば強い排尿困難や尿閉を引き起こすことや,大きな前立腺にも関わらず強い症状もなく,良好な尿流を示す症例があることを経験している。すなわち,臨床の場では前立腺の腫大は前立腺肥大症という病態の一側面にすぎず,排尿筋の状態や下部尿路閉塞の程度,自覚症状の強さなどが重なりあいつつも独立した事象としてこの病態を形成していると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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