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増刊号特集 前立腺疾患'96 前立腺肥大症 治療法の選択と実際・開放手術のテクニックとこつ
開放手術をめぐるcontroversy
著者: 岡田謙一郎1 秋野裕信1
所属機関: 1福井医科大学泌尿器科
ページ範囲:P.127 - P.131
文献購入ページに移動前立腺肥大症(BPH)に対する手術治療は,紀元1世紀頃すでに会陰式に行われたという。もともと膀胱結石を標的としたもので,前立腺の部分摘出は偶然の産物という不完全なものではあったようだが1),人はいかに昔から排尿障害に取り組んできたかの証の一つと言えよう。
周知のように,前立腺の開放手術には主に3つのアプローチがあり,これら術式の確立は19世紀にいたってであるが,その後およそ100年間,会陰式摘出の機会は比較的少なかったものの,BPHの手術はもっぱら開放術式であった。1932年McCarthyにより,現在のTUR-Pの原型が誕生して以来,周辺機器の技術的な進歩に伴って,手術は次第にこれが主流となった。欧米,ことに米国での普及はめざましく,1985年までには前立腺手術の95%はTUR-Pとなったが2),単一手術に対する膨大な医療支出に対して,その医療効果見直しの機運が生まれることになった3)。TUR偏重の反省はそののちBPH治療において次の4つの潮流を生んだと思う。
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