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増刊号特集 前立腺疾患'96 前立腺肥大症
日常生活上の注意
著者: 勝岡洋治1
所属機関: 1東海大学医学部泌尿器科
ページ範囲:P.140 - P.145
文献購入ページに移動前立腺肥大症はそれ自身悪性化することはないので,肥大した腺腫の完全除去は必ずしも必要ではない。腺腫が大きくなっても排尿困難を伴わないものは直ちに治療を始めなくてもよい。また,排尿困難の程度がそれほど強くなく上部尿路への障害がみられない場合には保存療法の対象となる。したがって手術療法か保存療法かという二者択一的な発想ではなく,全身状態を十分に把握し,病期に合った治療を組み立てることが必要である。手術適応については患者側の判断も重要である。なぜなら術後の症状と生活の質(QOL)の改善度は自分の症状をどの程度に自覚しているか,手術によってどの位改善が見込めるかの期待度が多分に影響するからである。
前立腺肥大症の臨床症状は通常3期に分けられ,第1期(刺激期),第2期(残尿発生期),第3期(完全尿閉期)とされるが,各病期が順序どおりに出現するとも限らない。また,各病期の間には移行型があり,自覚症状や残尿量についても固定期に入るまでに大きな振幅がみられる。急性尿閉を経験した患者が1回の導尿後何年も無事に経過することもある。
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