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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科50巻4号

1996年03月発行

増刊号特集 前立腺疾患'96

前立腺癌 診断のための検査と評価

超音波法および前立腺生検

著者: 澤村良勝1

所属機関: 1東邦大学医学部第2泌尿器科

ページ範囲:P.167 - P.170

文献概要

経腹壁的走査法による前立腺癌診断
 われわれは,前立腺癌のスクリーニング検査法として経腹壁的走査法を採用している。経腹壁的走査による前立腺肥大症と前立腺癌との鑑別点は,前立腺の輪郭と内部エコー像の異常所見を検討するもので,従来より行ってきた経直腸的走査法による診断規準と基本的には同じである1,2)。すなわち,輪郭の異常では前立腺被膜エコー像の限局性の突出や不明瞭化を伴う不整像を呈するもので,一言で言えば輪郭の非対称性である。内部エコー像の異常は限局性の低エコー域が初期癌の特徴とされているが,大多数は比較的広範囲の境界の不明瞭な不均質エコー域の存在が癌を疑う所見となる。さらに精嚢の変形,膀胱三角部の肥厚像や水腎症の存在が癌の浸潤像の所見である。
 経腹壁的走査法により1989年より1993年の5年間に前立腺肥大症と診断した293例に手術(TUR-P250例。前立腺摘除術43例)を行った。術後の病理診断にて21例(7.2%)に前立腺癌が発見された。この21例の中には腫瘍マーカーの軽度の上昇がみられたものも含まれているが直腸診では異常は認められなかった。われわれは,経腹壁的走査により異常所見が認められた症例ではさらに経直腸的走査を行い最終的には前立腺生検を行うという手順をとっているが,上記の症例は経腹壁的走査のみにより前立腺肥大症と診断したもので,7.2%の誤診率は本法による診断精度の限界ではないだろうか。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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