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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科50巻4号

1996年03月発行

文献概要

増刊号特集 前立腺疾患'96 前立腺癌 診断のための検査と評価

腹腔鏡下リンパ節生検

著者: 田島惇1

所属機関: 1東京大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.178 - P.180

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前立腺癌と腹腔鏡下リンパ節切除の役割
 前立腺癌において,所属リンパ節である内腸骨,外腸骨,閉鎖リンパ節転移陽性症例(stage D1)を前立腺全摘の適応とするか,否かについては,確定していない。前者はたとえリンパ節転移が存在しても術後adjuvant療法を施行することにより,良好な治療成績が得られるという立場である。後者は,もし骨盤内リンパ節転移陽性なら,前立腺全摘を行わずに,有力な抗男性ホルモン療法,放射線療法を行うという立場である。一方,この5〜6年泌尿器科領域では,骨盤内リンパ節切除(生検)を始めとして,多くの腹腔鏡下手術の急速な進歩・普及がみられてきた。その最大の理由は,腹腔鏡下手術は侵襲が少ないことにつきる。
 表に前立腺癌における腹腔鏡下骨盤内リンパ節切除(LPL)の役割を示した。次の2点が考えられる。ひとつは,摘出標本の迅速病理の結果,転移陰性であればそのまま引き続いて前立腺全摘を行う。全摘の術式としては,習熟しているなら会陰式のほうが恥骨後式より侵襲が少なく望ましいであろう。そして,もし転移陽性であれば,全摘を行わずに他の治療に切り換えるべきであるという考えである。他のひとつは,転移の有無に関わらずLPLと会陰式前立腺全摘を行うという考えである。もっとも,将来腹腔鏡下前立腺全摘除の術式が確立されたなら,別の役割が考えられるだろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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