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増刊号特集 前立腺疾患'96 前立腺結石・前立腺炎
特異性前立腺炎(クラミジアなど)の治療法
著者: 小野寺昭一1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学泌尿器科
ページ範囲:P.238 - P.241
文献購入ページに移動前立腺炎は,Drachらにより,1)急性細菌性前立腺炎,2)慢性細菌性前立腺炎,3)慢性非細菌性前立腺炎,4)prostatodynia(前立腺痛)に分類されている。このうち急性細菌性前立腺炎の起炎菌としては,E.coli, K.pneumoniaeといったグラム陰性捍菌が主であり,急性単純性尿路感染症の原因菌と類似している。慢性細菌性前立腺炎の起炎菌としては,E.coli, K.pneumoniaeの分離頻度がやはり高いが,それ以外のグラム陰性捍菌としてはP.aeruginosaが重要である。グラム陽性球菌としては,S.epidermidis, S.aureus, S.saprophyticus, E.faecalis(腸球菌)などが分離されるが,このなかではE.faecalisが最も重要であり,他の球菌については例え分離されてもcontaminationの可能性が高いとされる。
慢性非細菌性前立腺炎は,EPS(expressed prostatic secretion)中に炎症反応としての白血球が存在しながら,原因微生物を証明し得ない場合をいうが,原因となる可能性がある微生物として,Chlamydia trachomatis(クラミジア),Mycoplasma hominis, Ureaplasma urealyticum, Trichomonasなどが考えられている。
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