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増刊号特集 前立腺疾患'96
トピックス
文献概要
はじめに
前立腺特異抗原(PSA)は,前立腺癌の最も特異的なマーカーとして広く泌尿器科臨床で用いられている。1984年われわれは,わが国で初めてのPSA測定用RIAキットを栄研化学と共同で開発し,その臨床成績を報告した1)。その後EIAキットであるMARKIT-F2)など多くの測定法による報告が相次ぎ,前立腺癌診療におけるPSAの腫瘍マーカーとしての評価が確立された。当時の測定感度(sensitivity)は,前者が1.0ng/ml,後者が1.5ng/mlであったが,臨床的にそれほど問題にならなかった。それは治療法の多くは内分泌療法であり,その効果判定や再発の補助診断としてはほぼ十分であったからである。ところがわが国でも前立腺癌が急増してきて,早期のものに対して前立腺全摘除術が普及し,腫瘍の残存や再発の診断にPSAが利用されるようになったこと,またPSA検査が検診などにも広く利用されたが,対象者の多くが測定感度未満となってしまうことなどが明らかになり,測定感度の向上が望まれるようになった。
わが国より前立腺癌が多く,かつ前立腺全摘除術例も多い欧米ではなおさらその要望が強く,測定法の改良が図られ,その結果高感度アッセイが登場することになった。
前立腺特異抗原(PSA)は,前立腺癌の最も特異的なマーカーとして広く泌尿器科臨床で用いられている。1984年われわれは,わが国で初めてのPSA測定用RIAキットを栄研化学と共同で開発し,その臨床成績を報告した1)。その後EIAキットであるMARKIT-F2)など多くの測定法による報告が相次ぎ,前立腺癌診療におけるPSAの腫瘍マーカーとしての評価が確立された。当時の測定感度(sensitivity)は,前者が1.0ng/ml,後者が1.5ng/mlであったが,臨床的にそれほど問題にならなかった。それは治療法の多くは内分泌療法であり,その効果判定や再発の補助診断としてはほぼ十分であったからである。ところがわが国でも前立腺癌が急増してきて,早期のものに対して前立腺全摘除術が普及し,腫瘍の残存や再発の診断にPSAが利用されるようになったこと,またPSA検査が検診などにも広く利用されたが,対象者の多くが測定感度未満となってしまうことなどが明らかになり,測定感度の向上が望まれるようになった。
わが国より前立腺癌が多く,かつ前立腺全摘除術例も多い欧米ではなおさらその要望が強く,測定法の改良が図られ,その結果高感度アッセイが登場することになった。
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