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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科50巻4号

1996年03月発行

増刊号特集 前立腺疾患'96

トピックス

80歳以上の前立腺癌の治療

著者: 三浦猛1

所属機関: 1神奈川県立がんセンター泌尿器科

ページ範囲:P.262 - P.264

文献概要

はじめに
 高齢者とは一般的に65歳以上をいい,65〜74歳を老年前期,75歳以上を老年後期,さらに85歳以上を超高齢者と呼ぶ。前立腺癌患者では,治療法の適応などから80歳以上を高齢者とする。高齢者前立腺癌患者は,前立腺癌患者の約20〜30%を占め,今後老年人口の伸びからさらに増加すると考えられる。高齢者では,心血管系を代表とする他臓器疾患の合併,老化の進行とともに自立した日常生活が困難となり,手術,抗癌剤の適応が問題となる。一方,これまでの治療成績から,前立腺癌自体の性質は年齢には関係なく,組織学的分化度(grade)と進展度(stage)に応じた臨床経過を示すと考えられる。そこで,80歳以上の前立腺癌患者では,治療の第一目標を延命とはするものの,日常生活機能とQOLの向上と維持を考え,余命を5〜7年(80歳で7.3年,85歳で5.3年:生命表による平均余命,1992,神奈川県)と考えて治療法を選択する必要がある。高齢者では,内分泌療法が主体となるが,愁訴が多く,多種薬剤投与となりやすく,一方服薬状況が不良で,薬剤の副作用が出やすいことを念頭におく必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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