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急激に増大した胸腔腹腔内転移を伴った成人腎芽腫
著者: 西澤秀治1 市野みどり1 小川秋實1 内川謙治郎2
所属機関: 1信州大学医学部泌尿器科 2城西病院内科
ページ範囲:P.345 - P.347
文献購入ページに移動主訴腹部腫瘤。
現病歴 右小脳梗塞で入院した前医で胸部X線上腫瘤陰影を認めた。2か月の入院中に腹部緊満が著明となりCTで腹腔内腫瘤,右腎腫瘍を認め,当科に紹介入院となった。
入院時現症 腹部に巨大な腫瘤を触れ,腹囲は毎日3cm増大,白血球10,500/mm3,C反応性蛋白15.8mg/dlと炎症所見,また呼吸機能の低下がみられた。
入院後経過 腹腔内腫瘤とその胸腔内転移,右腎腫瘍が疑われ,腹部膨満による症状が強く腫瘍切除を行った。
手術所見 1650gの腫瘤を空腸,結腸と合併切除,右腎および腫瘍血栓を摘出した。腎は実質内にび漫性に浸潤する退形成腎芽腫。腹部腫瘤は粘液を容れる多嚢胞性で,胸腔内腫瘤の生検では一部軟骨肉腫様の像がみられ,ともに腎芽腫の転移と考えられた。膵頭部の嚢胞状腫瘤は生検で良性であった。
術後経口摂取は可能となったが,呼吸不全で術後24日目に死亡した。
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