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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科51巻11号

1997年10月発行

画像診断

精巣腫瘍と鑑別困難であった精索捻転症

著者: 堀口明男1 中村薫1 村井勝1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.865 - P.867

文献概要

 患者 25歳,男性。
 主訴 左下腹部痛。左陰嚢腫大。
 既往歴・家族歴 特記すべきことなし。
 現病歴 1996年10月2日,左下腹部痛を主訴に当院消化器内科を受診し,緊急入院した。10月3日,左陰嚢腫大を自覚したため当科を紹介され,転科となった。
 入院時現症 左下腹部に軽度圧痛を認めたが筋性防御は認めなかった。左陰嚢は圧痛を認め,内部に径3cmほどの辺縁不整な硬結を触れた。右精巣,前立腺は触診上異常なく,両側鼠径部にリンパ節を触知しなかった。
 臨床経過 入院時に37.5。Cと軽度の発熱を認めた。白血球数は12.8×103/Mm2と上昇していたが,10月5日には8.0×103/mm2に低下した。その他,腫瘍マーカーを含め臨床検査データ上の異常を認めなかった。臨床経過およびMRIより精索捻転症が疑われたが,超音波検査上精巣腫瘍の可能性を否定できず,10月9日に左高位精巣摘除術を施行した。
 手術所見 左精巣は外方に向かって720度回転しており,暗黒色調に変色していた。病理組織学的検査では,精巣は循環障害により高度の壊死と出血を認めたが悪性所見は認めなかった。以上より,左精索捻転症と診断された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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