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セミナー 臨床医のための生物統計学抄説・6
生存時間解析
著者: 樋之津史郎1 大橋靖雄2
所属機関: 1東京大学医学部薬剤疫学教室 2東京大学医学部 健康科学・看護学科 疫学・生物統計学教室
ページ範囲:P.281 - P.285
文献購入ページに移動テレビドラマに出てくる医師が患者さんの家族に「患者さんの命はあと半年です」などと宣告している場面を見ると,「普通そんな言い方はしないけどなあ」と懐疑的に見てしまうのは筆者だけではないと思う。ある患者さん個人の予後を正確に予測することが非常に難しいことは,日常臨床の中で実感されているであろう。以前のセミナーにも明記したが,ヒトを含む生物のさまざまな反応には本質的にバラツキがあり,特定の個人の予後を正確に予測することは困難である。しかしながら,ある背景因子をもつ患者集団の3年後の生存割合(3年生存率と言われることが多い)や生存期間の中央値は,その集団を表わす良い指標となるであろう。特に期間を限定した生存割合(x年生存率)は,比較的理解しやすい。
さて,例えば日本人男性の45歳の(46歳までの年間)死亡率は何を分母に何を分子にして計算するのであろうか。前回も紹介した厚生省のホームページに厚生省の統計情報がある。しかも生命表についてはエクセルのワークシートとしてダウンロードまでできる(http://www.mhw.go.jp/toukei/njh/htm/njh1-5.html)。ここでの説明は,「45歳まで生存した人のうち,46歳にならずに死亡した人の割合」とある。
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