文献詳細
画像診断
腎細胞癌による下大静脈腫瘍塞栓の診断に有用であったMRI
著者: 松田久雄1 植村匡志2 松浦健2
所属機関: 1済生会富田林病院泌尿器科 2大阪逓信病院泌尿器科
ページ範囲:P.421 - P.424
文献概要
現病歴 1995年5月下旬より全身倦怠感,右側腹部痛が出現したため近医を受診し,精査目的で紹介された。
入院時現症 右側腹部に圧痛を認める腫瘤を触知。右腎腫瘍と診断されたが,下大静脈から右心房にかけての腫瘍塞栓が心エコー,胸部CT, MRIなどで診断された。
腫瘍塞栓の先端は右心房内で,下大静脈はほぼ完全閉塞であった。右心房塞栓の肺梗塞による危険性を避けるため術前5日に無水エタノールにより塞栓術を施行したあと,1996年1月24日に体外循環併用により,右腎摘出術および下大静脈腫瘍塞栓摘除術を施行した。右腎細胞癌の腫瘍塞栓は右心房内に達し,下大静脈は完全に閉塞していた。
病理組織診断はrenal cell carcinoma, mixedtype, G2, INFα,pT3c N1 M0 V2cであった。術後1か月目に肺転移が出現し,肝転移も増大した。術後4か月目の頭部CTにて小脳転移を認め,1996年5月11日に死亡した。
掲載誌情報