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腹部内臓逆位症に合併した腎細胞癌
著者: 佐藤文憲1 大野仁1 野村芳雄1
所属機関: 1大分医科大学泌尿器科
ページ範囲:P.595 - P.597
文献購入ページに移動主訴 無症候性肉眼的血尿。
家族歴 特記事項なし。
既往歴 10年前より糖尿病を指摘され,3年前より内服治療中。
現病歴 1995年5月2日,無症候性肉眼的血尿を認めたため近医を受診し,腹部CT検査にて左腎腫瘤を指摘された。同年6月26日,紹介により当科入院となる。
入院時現症 胸部に異常所見を認めず,心雑音を聴取せず。腹部に異常所見を認めず。検査成績 血液一般,生化学検査ではHbA19.2%,HbAlc 8.3%,tages profileにて血糖のpeak値219 mg/mlと糖尿病の状態であった以外は異常所見を認めなかった。尿所見は尿糖(+)で,尿細胞診は陰性であった。また,呼吸機能検査,心電図および心臓超音波検査にて異常を認めなかった。
臨床経過 胸部単純X線写真にて正常の左胸心を呈していたが,腹部CT検査にて腹腔内臓器は左右が逆転した腹部内臓逆位症を呈していた。腎超音波検査およびCT検査にて左腎下極の腫瘤を認め,左腎動脈造影にて腫瘤に一致した部位に微小な動脈瘤形成を認めた。さらに大動脈および下大静脈造影にて,下大静脈は大動脈のさらに左側に位置していることを確認した。
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