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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科51巻9号

1997年08月発行

交見室

前立腺小室嚢胞の起源は何か

著者: 橋本博1

所属機関: 1旭川医科大学泌尿器科

ページ範囲:P.707 - P.707

文献概要

 不勉強のためか「前立腺小室嚢胞」というあまり耳慣れない言葉が気になり,直江道夫先生の「前立腺肥大症に合併した前立腺小室嚢胞の1例」(本誌51巻6号)を拝読した次第です。読み進むうちに「前立腺小室嚢胞(utricle cyst)」とは比較的大きな前立腺小室(utricle),あるいは前立腺小室そのものを示す言葉のようで,それなりに納得したのですが,ミュラー管嚢胞とは起源が異なるものであるという記載が,それまでの私の認識と違っておりました。
 直江論文によると,多くの報告で前立腺小室(嚢胞)とミュラー管嚢胞とは同一視されているとのことですが,私もいずれもミュラー管由来のもので,尿道との交通の有無のみが異なる点であると認識しておりました。すなわち,胎生期に尿生殖洞に開口しているミュラー管の開口部のみが残存したものが前立腺小室であり,開口部は閉鎖しているがその近傍に内腔が残存したものがミュラー管嚢胞であると考えておりました(私は発生に関しては全くの素人ですが,このように考えている人が多いのではないでしょうか)。しかし直江論文では,Poppelらの論文(J Urol129:608-609,1983)を引用して「ミュラー管嚢胞は中胚葉由来であるのに対し,前立腺小室嚢胞は内胚葉由来であり,mullerian systemが消失し,その尾部のみが痕跡として残存したものである」と述べておられます。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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