文献詳細
画像診断
腎血管筋脂肪腫に対する選択的動脈塞栓術:長期経過観察
著者: 藤井靖久1 石坂和博1 木原和徳1 大島博幸1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部泌尿器科
ページ範囲:P.873 - P.875
文献概要
主訴 左背部痛,肉眼的血尿。
現病歴 1994年7月14日,昼間,部屋の掃除中に突然左背部に激しい疼痛を感じ,嘔気,嘔吐を伴った。その後の排尿は肉眼的血尿であった。同日,某院に緊急入院となり,左腎腫瘍,自然破裂と診断された。末梢血ヘモグロビン濃度6.3g/dlの貧血があり,濃厚赤血球5単位を輸血した。7月26日,本人の希望により当科に転院となった。
入院後経過 投下入院時は嘔気,嘔吐,肉眼的血尿は消失しており,左側腹部から背部の疼痛が断続していた。血液検査ではヘモグロビン11.9g/dlの貧血があり,またLDH1,357U/l,C反応性蛋白2・5mg/dlと上昇していた。
腹部超音波検査(図1),CT検査(図2)では,10cm大の左腎血管筋脂肪腫(angiomyolipoma:AML)の自然破裂と考えられた。8月10日に左腎動脈造影を行ったところ,左腎腫瘍はhypervascularでmicoro-aneurysmsを伴っており,AMLに合致した所見であった(図3a)。腫瘍の栄養動脈までカテーテルを進め,エタノール3mlにて選択的動脈塞栓術を行った。塞栓術後の左腎動脈造影では,腫瘍血管はまったく描出されなくなった(図3b)。塞栓術後は軽度の左背部痛と微熱を認めた。8月21日に退院した。
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