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文献詳細

雑誌文献

臨床泌尿器科52巻13号

1998年12月発行

綜説

女性腹圧性尿失禁における尿道括約筋不全ISDと腹圧下尿漏出圧ALPPの意義

著者: 加藤久美子1

所属機関: 1名古屋第一赤十字病院泌尿器科

ページ範囲:P.989 - P.999

文献概要

 女性腹圧性尿失禁の機構を解剖学的尿失禁AIと尿道括約筋不全ISDに分けた時,従来少数派とされたISDの概念がprimary ISD,AIとISDの共存を含めて拡大し,術式の選択に変化をもたらしている。ISDの指標に腹圧下尿漏出圧ALPPがあり,腹圧負荷により尿失禁が起こる最も低い膀胱内圧をみるものである。立位安静時の膀胱頸部開大で規定されるtype Ⅲの頻度はALPPが低いほど高くなるが,ALPPのほうが定量化できる利点がある。ISDの治療に針式膀胱頸部挙上術は不適切で,尿道スリング手術や尿道周囲注入法が推奨される。スリング手術は筋膜,人工材料などを使って尿道を下方から支持するもので,尿閉,de novo instabilityの合併症から敬遠されがちだったが,最近minimal tension(tension-free)に配慮することによって,ISDだけでなくAIにも適応を広げている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1332

印刷版ISSN:0385-2393

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