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腎茎損傷時の造影CTによる腎静脈描出
著者: 小池博之1 藤岡知昭2
所属機関: 1岩手医科大学高次救急センター 2岩手医科大学泌尿器科
ページ範囲:P.149 - P.151
文献購入ページに移動主訴 上腹部痛。
既往歴 41歳時,子宮筋腫手術。
現病歴 1996年10月17日の午前10時30分頃,農作業中に脱殻機と丸太の間に胸腹部をはさまれて受傷した。救急車で近医に搬送されたが,上腹部痛の増強があり,精査,加療を目的に当施設を紹介され,同日午後4時23分に受診した。
現症身長148cm,体重54kg,栄養は良好。血圧182/107mmHg。右側胸部,上腹部に圧痛があるが,腹部は軟らかく,筋性防御はみられない。腎,肝,脾は触知しない。
検査所見 血液学的検査では外傷による血糖,GOT,GPT,LDHなどの軽度の上昇と換気障害による低酸素血症が認められた。胸腹部の単純X線写真では右第6から10番の肋骨骨折がみられた。腹部超音波検査では腹水の貯留もみられず,右腎の形態は良く保たれており,腎実質の損傷はないものと判断された(図1)。造影CT像では右腎実質はほとんど造影されず,腎動静脈周囲に淡い造影剤の溢流がみられ,さらに腎静脈が造影されていた(図2)。腎茎損傷を考えて血管造影を施行した。右腎動脈は起始部より約1cmのところで完全に閉塞しており,その末梢側は造影されなかった(図3)。
右腎茎損傷の診断で,直ちに緊急手術を施行した。
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