文献詳細
増刊号特集 膀胱全摘除術と尿路変向術のすべて
Ⅴ 手術手技 3.尿路変向術 (3)膀胱再建術
文献概要
はじめに
胃利用膀胱形成術は1960年にSinaiko1)が初めて報告し,1970年代にLeongが試みたがその後はしばらく報告がみられない。1988年のAdamsら2)による小児13例での報告のあとに多数の報告がみられるようになり,この術式の利点および欠点が次第に明らかにされてきた。本邦では,筆者らが動物実験のあと,1990年に成人での胃利用膀胱拡大術を行い,報告した3〜5)。筆者は,その後現在までに十数例の成人で本法を行い,ほぼ満足すべき結果を得ている。本邦における小児例での胃利用膀胱拡大術の報告としては,上岡ら6)の14例の報告がある。
胃利用膀胱形成術の適応については今だ確立しておらず議論されているが,症例によっては,他の方法では手術が不可能あるいは術後合併症の危険が大きい場合も,本法を用いることで比較的安全に膀胱形成術を行いうる場合があることは確かで,QOLを重要視した尿路再建を行うために重要な手術手技の1つと考えられる。筆者は,主に骨盤部放射線治療後の下部尿管と膀胱障害,および腎機能低下を伴う成人症例に本法を応用している。しかし,最近,放射線治療を受けていない成人症例における本法の応用も報告されている7,8)。
胃利用膀胱形成術は1960年にSinaiko1)が初めて報告し,1970年代にLeongが試みたがその後はしばらく報告がみられない。1988年のAdamsら2)による小児13例での報告のあとに多数の報告がみられるようになり,この術式の利点および欠点が次第に明らかにされてきた。本邦では,筆者らが動物実験のあと,1990年に成人での胃利用膀胱拡大術を行い,報告した3〜5)。筆者は,その後現在までに十数例の成人で本法を行い,ほぼ満足すべき結果を得ている。本邦における小児例での胃利用膀胱拡大術の報告としては,上岡ら6)の14例の報告がある。
胃利用膀胱形成術の適応については今だ確立しておらず議論されているが,症例によっては,他の方法では手術が不可能あるいは術後合併症の危険が大きい場合も,本法を用いることで比較的安全に膀胱形成術を行いうる場合があることは確かで,QOLを重要視した尿路再建を行うために重要な手術手技の1つと考えられる。筆者は,主に骨盤部放射線治療後の下部尿管と膀胱障害,および腎機能低下を伴う成人症例に本法を応用している。しかし,最近,放射線治療を受けていない成人症例における本法の応用も報告されている7,8)。
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