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綜説
文献概要
排尿筋不随意収縮に伴う頻尿,切迫性尿失禁の治療には,従来から抗コリン剤(オキシブチニンなど)が用いられ比較的高い効果が得られてきたが,唾液腺のムスカリン受容体拮抗作用による口渇の出現率が高い。この点を踏まえ,膀胱選択性の高いムスカリン受容体拮抗薬(ダリフェナシン,トルテロジン)が開発されてきた。一方,Ca拮抗作用を主とする平滑筋弛緩薬(プロピベリン,テミベリン,フラボキサート)やATP依存性Kチャンネル開口薬(YM−934),β受容体刺激薬(クレンブテロール)はムスカリン受容体に関与しないため,アトロピン抵抗性収縮にも効果が期待でき,ムスカリン受容体を介した副作用も避けることができる可能性がある。さらには中枢レベルで排尿反射を抑制する薬物(バクロフェン,NC−1800,ランペリゾン.イナペリゾン)も登場し,病態に沿った使い分けや組み合わせができる時代が近いと思われる。
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