臨床泌尿器科52巻6号

1998年05月発行

小さな工夫

尿管腎盂重積法（順行性）によるエンドパイエロトミー—簡単な切開方法

著者： 坂本亘¹ 吉本充²

所属機関： ¹大阪市立総合医療センター泌尿器科 ²大野記念病院泌尿器科

ページ範囲：P.447 - P.447

文献概要

　エンドパイエロトミーは，腎盂内から狭窄部の腎盂尿管移行部を直接に切開する手術である。しかし，腎盂尿管移行部は固定されたものではなく，切開刀に力を加えると移動するために切りにくく，力を入れないと切ることができない。このため，エンドパイエロトミーは初心者にとっては意外と難しく，一定の成績を得るには経験が必要である。
　筆者らは，Geletら^1,2）が報告した尿管腎盂重積法（逆行性）を順行性に変更し，エンドパイエロトミーを施行している。この方法は，初心者でも十分な切開が可能である。Geletらは，逆行性に挿入した尿管バルーンを狭窄部の直下で膨らませ，腎瘻から鉗子で尿管バルーンの先を把持し，上方に引き上げることで尿管を腎盂内に重積させている。筆者らは，あらかじめ通してあるガイドワイヤーに被せて，尿管バルーンを腎瘻から狭窄部直下まで順行性に挿入し，狭窄部の直下で膨らませ（図a），外から尿管バルーンを牽引して尿管腎盂を重積させている（図b）。牽引のための鉗子は不要である。また，力加減ならびに方向の調節も簡単である。