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特集 泌尿器科領域における分子生物学の臨床応用:治療編
文献概要
癌に対する遺伝子治療の基礎・臨床研究が進められている。筆者らはラットBBN誘発膀胱癌モデルを用い,アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療実験を行った。ベクターを膀胱内注入すると,腫瘍組織へのpreferentialな遺伝子導入が認められた。さらに,代表的な自殺遺伝子であるHSV-tkとganciclovir(GCV)を用いた遺伝子治療実験では,著明な抗腫瘍効果が認められた。この治療法は膀胱癌の特徴を生かした治療法であり,臨床に非常に近い腫瘍モデルである。in vivo遺伝子導入によって治療効果が認められた意義は,膀胱癌の遺伝子治療を考える上で非常に重要であると考える。
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