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綜説
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後腹膜鏡下手術とは,腎周囲あるいは骨盤部の腹膜外領域に人工的に作成された操作腔に内視鏡と手術機器を挿入して行う低侵襲性手術で,泌尿器科学領域の臓器に腹腔を経由せずに到達できる利点がある。歴史的には,尿路に対する内視鏡手術の発展段階の第4ステージということができる。後腹膜鏡下手術の発展には,比較的高圧での炭酸ガス注入装置による後腹膜気腹とバルーン拡張法による操作腔の剥離との併用に拠るところが大きい。1992年以降,後腹膜鏡下手術の適応は急速に拡大し,その発展の技術的母体となった腹腔鏡下手術を適応数や手術成績で凌駕しつつある。今後この術式が技術的にさらに改良されれば,泌尿器科学領域での良性疾患の手術において,開腹手術の大部分を後腹膜鏡下手術で置き換えうる可能性があると思われる。
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